個別データ検証 出現実績ゾーン法

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わかりやすいゾーン法

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はじめに

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出現実績ゾーン法は、精度管理の個別データ検証法の一つです。現在、多くの施設では日常精度管理として管理試料(コントロール)により精密度、正確度の評価が行われています。

出現実績ゾーン法は、患者試料(検体)から個別の患者データに対して検証可能な精度管理の手法です。

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多くの施設では、個別の患者データ検証は検査技師の方の経験と専門性で一人一人の結果をチェックし、登録(報告)または再検を判断していると思われます。

例えば、透析患者は外来患者に比べ、無機項目のデータ変動が異なることを経験的に理解しています。
長年多くのデータを見続けた経験から、「透析患者ではありえるデータ変動だが、外来患者であれば異常値として再検する」というような、経験的に理解している再検基準が自然と頭の中に入っています。

この経験的・専門的な判断基準の多くは目に見えずアウトプットできないため、個人レベルにより再検率に差が生じることも否定できません。

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出現実績ゾーン法では、前述したような施設ごとに異なる膨大な検査データを目に見える形に表し、再検基準の判断材料とする事を目的としています。

サーバーに蓄積された膨大な検査データを測定結果分布(エリア)として表します。

この施設特有のエリアを一人の患者データ検証に用いるのが出現実績ゾーン法の考え方です。

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出現実績ゾーン法は3つのチェック方法を採用しています。
どのチェック方法も検査実績データに基づいた判定を行います。

単項目チェック・・・LOW/HIGHチェックです。
項目間チェック・・・検査実績データエリアの内外で判断します。
前回値チェック・・・最も優先順位の高いチェック方法で、項目間と同様に、検査実績データエリアの内外で判断します。

中でも、”前回値チェック”は前回の検査から何日経過したデータなのかを考慮したチェックが可能です。
(後ほど詳しく説明します)

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出現実績ゾーンの描き方です。

1.
検査室に蓄積された大量の検査データを基にします。
2.
検査データから、CLINIEELサーバーとアプリケーションを使い、項目毎にヒストグラムを描きます。
3.
ヒストグラムと設定された単項目・前回値・項目間チェックマスタから3次元頻度分布図を作成します。
4.
3次元頻度分布図から出現実績ゾーンのエリアを作成(2次元化)しこれを判定マスタとします。
5.
過去すべての登録データから判定ゾーンを作成するのではなく、異常値を数%棄却して判定用ゾーンとします。
6.
弊社の棄却率推奨値は3%です。

単項目チェック

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単項目チェックの詳細です。

過去の検査実績データからLow/Highの設定を行います。

例としてTPのデータをご覧下さい。
過去約13万件の登録データから、この施設でのTPは最大値:13.1、最低値:1.1です。
ヒストグラムの両端0.1%のデータを棄却した数値を実績範囲として採用します(ここではTP:3.4~9.6が実績範囲になる)。

前回値チェック

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前回値チェックの方法です。

従来法(デルタチェック法等)は直線的で広いチェックエリアになります。

それに対し、ゾーン法では実績に基づく明確なチェック範囲で、信頼性が高いチェックレンジになります。

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前頁の図を重ねて斜めから見た図です。

斜線範囲が従来のデルタチェック法の許容範囲です。 3次元の島になっているのが出現実績ゾーンです。

ある患者のデータがプロットされた場合(オレンジの点)、従来法では登録、出現実績ゾーン法では実績外なので再検となります。

また別の患者データがプロットされた場合(青の点)、従来法では再検、出現実績ゾーン法では実績内なので登録とします。

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受診科別の出現実績ゾーンの例です。

CRE、WBCに関して小児科、リウマチ科、内科、救命救急科において検査実績は異なってくることが分かります。

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さらに、前回値チェックでは、経過日数を考慮します。

経過日数の考慮とは、前回の検査から経過した日数を考慮して出現実績ゾーンの作成・判定します。

図の0~5日の出現実績ゾーンは前回の検査から当日~5日以内に検査されたデータを集めたもの。短期間に高頻度で検査しているため、患者の状態も不安定でデータ変動も大きいために広いエリアとなります。

ところが、右下32~120日以内に検査されたデータを集めた出現実績ゾーンは定期検査で患者の状態も安定であることが予想され、データ変動も小さく狭いエリアとなります。

例えば、前回の検査から12日経過して検査に来た患者の場合は、右上10~32日以内のゾーンにあてはめて結果判定します。

項目間チェック

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項目間については、2項目についての検査結果の度数分布図、即ちX軸、Y軸に任意の項目を選択し、大量の結果により3次元の出現実績を得ることができます。この出現実績をもとに、許容範囲をゾーンで設定します。この場合もフリーに設定できるので、項目間の関係が相関のあるなしに関わらず、より実際的な分布に従った設定ができます。

ここで興味深いことは、異常値の出現から新しい病態が見つかる可能性があることです。つまり、もし特定の疾病と項目間の結果分布とが関連付けられれば、検査結果から疾病の可能性を指摘することができます。この点においては、項目間の出現実績の解析は『診断支援』としての可能性を秘めているといえます。(現在のところは、あくまで「可能性」です。実際に解析した事例はほとんどありません)

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項目間チェックの考え方です。

前回値チェックと同様に、大量の検査結果から項目間の出現実績ゾーンを作成し、患者データがエリア内であるか否かで登録・再検のチェックを行います。

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項目間の分布実績の事例です。

隅に特異な例(IgM、IgA単独の異常高値)が見えます。

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出現実績ゾーン法の導入効果として次のことが挙げられます。

  • ・ 検査室内で再検基準が統一化されます。
  • ・ データチェックの個人・経験差を低減し、施設によっては無駄な再検査が減少します。
    (現在の施設の再検率が1~3%台の施設でさらに再検率を下げる事は期待できません)
  • ・ 無駄な再検査が低減することで臨床への結果報告が早くなります。
  • ・ 検査結果の信頼度が向上し、患者への早期診断・早期治療が可能になります。

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