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検査室支援情報

検査の樹 -復習から明日の芽を-菅原 和行(菅原バイオテク教育研究所)

16. ふり返り、あらたに視えた課題!COVID-19感染症診断検査

はじめに

2019年暮れに初めて確認された新型コロナウイルス感染症は、瞬く間に世界中で猛威をふるい、今なお多くの人々を震撼させている。新型コロナウイルス感染症は、SARSコロナウイルス2(SARS-CoV-2)がヒトに感染したウイルス感染症で、COVID-19(corona-virus disease 2019)と呼ばれる。このパンデミック感染症は、世界中の医療関係者や基礎研究者など、多岐に渡る分野の大多数の方々が未踏の領域にチームを組み、短期間に膨大な成果をあげているにも関わらず、いくつもの新たな変異ウイルスを出現させながら、次々と想像を絶する勢いで感染拡大を続けている。ウイルス名は、国際ウイルス分類(命名)委員会(International Committee on Taxonomy of Viruses:ICTV)により、SARS(重症急性呼吸器症候群)を引き起こすウイルス(SARS-CoV)の姉妹種として「SARS-CoV-2」と名付けられた。ヒトへの外からの主な侵入経路は、口腔、鼻腔、眼である。

SARS-CoV-2の感染者(COVID-19)は病状により、無症候性(Asymptomatic)・軽度(Mild)・中程度(Moderate)・重度(Severe)・クリティカル(Critical)に分けらる。その特有の病状および病態は多岐に渡り、病状が急変することもある[1][2]。これは、メディアで報道されるようなCOVID-19に感染した著名人の突然の訃報からも知るところである。さらに、COVID-19感染者の一部には、Long COVID[3]と呼ばれる初期病状からの回復後に生じるCOVID-19後遺症により、病状が長期間に渡り継続するなど、不可解な難題も浮かび上がってきた。


COVID-19パンデミックは、いまだに終息のめどが立たず、治療薬が確立できていない現状下ではワクチン接種が唯一の頼みの綱とされる。世界中が競い合うように、驚くほどのスピードを持って、ワクチン接種者を増やしている。はたしてCOVID-19パンデミックはワクチン接種により終息するのか、今後もくすぶり続けるのかは定かではない。

治療法が確立していない今日において、COVID-19パンデミックの感染抑制には、まず感染者と非感染者とを明確に区分することである。しかし、厄介なことに感染者は発症以前からウイルスを排出し、無症候者もウイルスを排出する。また、感染者がウイルスを排出する期間は、感染者により長短差があるなど難題も多い。

したがって、本診断検査には迅速、高感度かつ正確さが求められる。現行では、検査処理数などの観点からRT-PCRが診断検査のゴールドスタンダードとされている。


しかし、RT-PCR検査も塩基変異の頻度が高いRNAウイルスの検出検査としては弱い側面を持つ。SARS-CoV-2は、複製ミスに対し校正機能を持つためRNAウイルスの中では比較的塩基変異の頻度は低い(SARS-CoV-2(約30kb)は、約 24-25塩基変異/ゲノム/年の塩基変異速度を示すとされている[4]。しかし、仮に、primer siteに塩基変異が生じた場合、primerとのmiss matchによりassay感度は低下する。また、変異した塩基およびprimerの3’末端からの位置によっては反応性すらも疑義が持たれる。さらに、RNAの特性に基づく操作性および汚染や一連の分析操作技術上の課題など、留意すべき点も伴う。


本稿では、COVID-19感染症禍において見えてきたCOVID-19の概要と課題などについて。さらに、SARS-CoV-2感染期の診断検査および病態重症化への予測、そして完治指標となるバイオマーカー検索や奥深い感染症検査の体系構築など診断検査確立への糸口になればとの思いから、遅まきながらわずかな集積情報の一部から学び得た断片的知識を、Ⅰ. COVID-19感染症、Ⅱ. COVID-19診断検査と2回に分けて記載予定である。

Ⅰ. COVID-19感染症

COVID-19病態と感染機構

記載にあたり、Ⅰ.COVID-19感染症は3つの分野に分けた。


  • A. COVID-19の病因・病態とSARS-CoV-2感染
  • B. SARS-CoV-2ビリオンの細胞受容体への結合・侵入(感染)
  • C. SARS-CoV-2感染による自然免疫の抑制機構

参考文献は文中に[ ]番号で示し、末尾に対応番号と著者2名、雑誌名およびdoi(Digital Object Identifier)とを表記した。また、引用文は『』で示した。文中のいくつかの語彙には文中に注釈を付記した。また、重要かつ難解な反応系については一部、図参照としてWebサイトのアドレスを付記した。英文はGoogle翻訳を基本として一部の単語や文節を用手的に加工し和訳した。

A. COVID-19の病因・病態とSARS-CoV-2感染

A-1.新型コロナウイルス感染症(COVID-19)とは。

日本時間2021年4月25日AM5:00時点で、世界の新型コロナウイルス感染者数は1.46億人、死亡者数309万人である(提供元:ウィキペディア)。また、米疾病対策センター(CDC)が行った2021年3月31日の暫定統計によると、米国では2020年の COVID-19による死亡者数は、心疾患・がんに続いて3番目となった。

COVID-19の重症例の病因論としては、サイトカインストーム・ブラジギニンストーム・RASの乱れ・インフラマゾーム(inflammasome)・好中球細胞外トラップ(NET)・血管病・溶解性プログラム細胞死(ピロトーシス)・免疫系の暴走など、諸説が交錯している。さらに、SARS-CoV-2の宿主細胞への侵入経路もACE2一辺倒ではなく、複数の侵入経路が存在する。これらはいずれも検証に基づき報告された事象であり、単一の系列要因に起因する作用か、または根底において通常では起きえない複雑多様な交絡因子がタイムラグに交錯し合い生じた結果であるか、それぞれの報文の妥当性は高く評価されているものの、現時点において論じ得るだけの確証は捉えがたい。

また、COVID-19の病状発症・重症化症状への転化についても病状の進行過程でのカスケードの乱れの強弱に起因するのか、先天的、もしくは代謝的および加齢などの生理的要因の加勢によるものかについても現在、研究は継続されている。
COVID-19の病状および重症度は患者によって大きく異なる。無症状の人もいれば、咳や発熱など、風邪様症状を伴う軽症で自然治癒する人もいる。しかし、約5%の重症例では、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)や敗血症・多臓器不全を伴い、死に至る人もいる[2][5]。

軽症例でも味覚障害・臭覚障害・脱毛・全身倦怠感などの不快病状の長期化、Covid toes(コロナのつま先)、手足の皮膚症状、リスクのない人での血栓形成による急性心筋梗塞・脳梗塞などの塞栓症による重症化への急変などが見られる。さらに、寛解後もブレインフォグ(Brain Fog)などのLong COVIDと呼ばれる後遺症の長期化を伴う症例など、今なお未解明な領域の多い感染症と言える[6]。SARS-CoV-2に感染した患者は、顕著な上気道の兆候や症状を示すことは少なく、大部分の感染者は乾いた咳(83~99%)と呼吸困難(59.4~82%)を示し、X線画像では両側のすりガラス状の混濁が特徴とされている[7][8]。

ほとんどの重症例で特徴的な症状は、呼吸困難(~55%)[9]で最も重篤な患者では、命の危険を脅かす重症の肺炎「急性呼吸緊迫症候群(ARDS)」となる。
臨床検査値では、重症患者の血液中にはIL-6・TNF-α・CRPなどの免疫タンパク質が高値を呈する。一部の重症なCOVID患者では、免疫応答の暴走が全身にダメージを与え、血栓や心臓障害・臓器不全を引き起こすとされている。

 

A-2.急がれるスルーさせないCOVID-19の診断・重症化指標のバイオマーカー検索

このため、臨床検査分野では、SARS-CoV-2感染の確定・潜在的な無症候者の発掘・重症化指標因子の分析・治療情報の提供など、経過予測を含めた目的別にバイオマーカーの検索と検査の体系化が急務とされる。
Man Kongらは、末梢血をフローサイトメトリーで測定したリンパ球サブセットから好中球とリンパ球の比率(NLR)を算出した。COVID-19重症群の平均NLRは、軽度群の平均NLRよりも高値であった(6.6対3.3・P <0.001)。T細胞数は重症群で有意に減少した(0.5対0.9・P <0.001)。 COVID-19は主にリンパ球、特にTリンパ球に作用する可能性があり、 NLRは、重度のCOVID-19感染症の初期の危険因子として特定された[10]。
また、臨床検査値の異常は、重症と非重症のCOVID-19患者を区別するのに有用である。異常な検査値パラメータは、COVID-19の重症化への進展を予測する。特に、リンパ球減少とD-ダイマー・LDH・ALT・ASTの高値は、COVID-19の予後不良を反映する[11]。

遺伝子・抗原検査によるCOVID-19感染者のスクリーニング検査において、感染者をスルーさせないように現行のスクリーニング検査と、新規バイオマーカーとの併用測定が望まれる。興味深いことに、感染症試料は病原体と感染者の生体情報(感染宿主細胞や免疫細胞)とが混在している。RNAの保護試料を用いるRT-PCR検査であれば、ホストの炎症応答関連遺伝子のmRNA発現量の評価も同系統のRT-PCRに組み込んで測定可能と思われる。さらに、陽性者の重症化への進展予測や、重症患者についての分子生物学的炎症機構の解明、Long COVID対応を視野に入れたCOVID-19感染者の体内からのSARS-CoV-2の消失、自己炎症反応の鎮静化などの指標となるバイオマーカー(複数が望ましい)の確立も望まれる。しかし、SARS-CoV-2感染の多様性(“internalize the virus”,“trans-infection”)を考慮した場合、困難は想定される。

 

A-3.COVID-19感染症の多様性。

COVID-19では、自己の免疫系の暴走が危険な炎症症状を引き起こす場合があり、実際に高サイトカイン血症が検出されている。また、単球の増加および好中球の異常な増多に伴う好中球細胞外トラップ(NET)による血栓生成や長期適応免疫を担うT細胞の血中レベル低下など、免疫系の攪乱が生じている。Yu ZuoらによるとCOVID-19患者の血清では、無細胞DNA・ミエロペルオキシダーゼDNA(MPO-DNA)およびシトルリン化ヒストンH3(Cit-H3)のレベル上昇が見られた。後者の2つは、NETの特定マーカーで、無細胞DNAは、C反応性タンパク質やD-ダイマーなどの急性期反応物と強く相関する。LDH・好中球の絶対数およびMPO-DNAは、無細胞DNAと絶対好中球数の両方が関連し、Cit-H3は血小板レベルと相関した。重要なことは、無細胞DNAとMPO-DNAの両方が、人工呼吸器を装着している入院患者では、非装着の入院患者と比較して高かったことである[12]。

免疫系により早期にⅠ型インターフェロン(IFN-Ⅰ)が産生されると、ウイルス増殖は抑制されて症状は軽微となる。しかし、SARS-CoV-2ウイルスによる自然免疫の抑制を受けた感染者・産生低下の高齢患者・IFN産生機構に障害があるヒトおよび多量のウイルスに暴露された患者においては、免疫系の応答が遅れウイルスの複製が継続される。さらには、遅れて到達したインターフェロンの過剰反応によりさまざまなサイトカインが大量産生され、炎症と重症化に結びつく。しかし、免疫応答の乱れに伴う機構的な要因は充分には解明さていない[13]。通常、生体細胞は、SARS-CoV-2の侵入・複製過程で生じるdsRNAの検知により病原体侵入の異変を察知し、インターフェロンを産生し防御機構を発するが、ウイルスの巧みな攻略により感染防御は充分な機能を果たせない。後述するように、SARS-CoV-2はスパイクタンパク質のS1サブユニット上の受容体結合ドメイン(RBD)の暴露を短くするなど、免疫系を回避しながら強くACE2へと結合する。

 

A-4.サイトカインストーム

パンデミックの初期から、COVID-19患者では高レベルのサイトカインが検出され、サイトカインストームが重症例の要因と考えられた。しかし、その量と結果的に誘発される炎症状態は、明確には定義付けされてはいないが典型的なサイトカインストームとはやや異なる所見も認められた。作用細胞に応じてさまざまな危害を及ぼす高水準のサイトカインであった[12]。
Del Valle,D.M.らは、ニューヨーク地域の1,500人近くの血液を分析し、IL-6・TNF-α・IL-1β・IL-12など炎症と組織損傷を悪化させるいくつかのサイトカインレベルが有意な高値を示すことを報告した。この発見により、IL-6とTNF-αの異常な高値が重症度と死亡の予測因子となることが示された[13]。さらに、IwasakiらはIL-5とIL-17の高値に関して報告した[12]。
これは、ウイルスへの免疫応答では見られない、寄生虫や真菌感染への誤った免疫応答と思われるが、その機序は不明である。また、一部の患者では、CCL2・CCL7・CXCL9・IL-8のケモカインレベルが高まっていることも確認されている。SARS-CoV-2に感染したCOVID-19患者個々においては、無関係と思える変幻自在な臨床症状を示す。この症状について、傷害性の過剰な炎症応答を説明するにはサイトカインストームが主流とは思われても、これだけでは少々無理があり、他の要因に目を向ける人達も出てきた。

David C. Fajgenbaumらは、サイトカインストームについて、『サイトカインストームの統一的な定義は存在せず、定義がどうあるべきか、そしてCOVID-19などの特定の状態をサイトカインストーム障害の範囲に含めるべきかについては、多くの意見の相違がある。そのため、以下の基準に基づくサイトカインストームの統一的な定義として:循環サイトカインレベルの上昇・急性全身性炎症症状・および病原体が存在する場合、病原体に対する正常な反応に起因する可能性があるものを超える二次臓器機能障害との案を提案した[14]。』(文献[14]の一部を和訳し引用)

 

A-5.ACE2-MAS(RAS)-bradykinin系

SARS-CoV-2は、レニン-アンジオテンシンシステム(RAS)を構成するペプチドの1つであるアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)に付着し、細胞内に侵入する。Michael R. Garvinらは新たな概念として、重症COVID-19からの9例の気管支肺胞洗浄サンプル(BAL)を40の対照サンプルと比較解析し、RASの調節不全を導き出した。すなわち、免疫病理の観点からブラジギニン(bradykinin:BK)という9個のアミノ酸からなるペプチドによる炎症反応の「ブラジギニンストーム」という仮説を立てた[15]。ブラジキニン過度になると、COVID-19に見られる重症化の多様な病状を引き起こす可能性がある。

Daniel Jacobsonらが指摘しているように、さまざまな臓器の極端なブラジキニンレベルは、乾いた咳・筋肉痛・倦怠感・吐き気・嘔吐・下痢・食欲不振・頭痛・認知機能の低下・不整脈・心臓突然死につながる可能性があり、これらはすべてCOVID-19のさまざまな症状に関連している[15]。BKは、ACE2およびRAS系統とは密接に関連し合う極めて重要な因子である。また、BKによる血管拡張作用による浮腫は、これまで遺伝性血管性浮腫などにおいても知られている。生体にとって重要な血圧調整は、ペプチド成分のバランス均衡によって保持されている。特に、心臓血管系と肺において、宿主細胞のSARS-CoV-2ウイルスの侵入の受容体であるACE2の生理学的機能は、極めて重要と言える。

ACE2/MAS経路の急性損傷による不均衡に伴う、全身性有害作用の発生機構の関連を図1に示した。これらの強い生理活性物質は、10個以下のアミノ酸が連結したペプチドである。BKを血漿中に添加した半減期は34秒と短いが、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤エナラプリラト(130nM)を添加すると約12倍に増加した[16]。結果的に、BKの分解・排出機構が働きにくい状態が続くと、BKは高値を呈す。血管拡張状態となり、血管透過性が亢進すると肺胞などへの浸出液が増えてくる。

 

キニン-カリクレイン系とCOVID-19との想定される関連

図1 キニン-カリクレイン系とCOVID-19との想定される関連

 

A-6.ヒアルロン酸と浸出液によるヒドロゲル

血管拡張状態により肺胞などへの浸出液が増え、これに結合組織に見られる吸水性の高いヒアルロン酸(HA)が加わると、ヒドロゲルと呼ばれる「ゼリー」状の硬い粘性品質を獲得する。肺胞にヒドロゲルが産生するとO2およびCO2のガス交換に悪影響を及ぼすことが推察される。HAが唐突に出現したように思えるが、実はそうではない。HAはほとんどの結合組織に存在する多糖類で、その重量の1,000倍もの水分を閉じ込めることができる。HAS1・HAS2およびHAS3は、内在性膜タンパク質のヒアルロン酸合成酵素をコードする遺伝子で、HAはHYAL1およびHYAL2にコードされるヒアルロニダーゼによって分解される。HYAL1はリソソームヒアロニダーゼ(Hyal-1)をコードしHAの細胞内分解に、HYAL2は膜結合ヒアルロニダーゼ(Hyal-2)をコードし、HAの細胞外分解に関与する。いずれも活性をCD44(HA受容体)に依存している。

COVID-19では、RAS・BKシステムと同様に、HAの合成と分解をコードする遺伝子類も大きな影響を受ける。実際、Michael R GavinらのCOVID-19BALサンプルによる分析結果によると、HAS1(9,113倍)・HAS2(493倍)・HAS3(32倍)とHA合成に関与する遺伝子のアップレギュレーションが見られた。一方、HA分解を担うHA受容体をコードするCD44遺伝子(-11倍)、細胞外ヒアルロニダーゼHYAL2をコードする遺伝子(-5倍)はダウンレギュレートされていた。HYAL1は、対象のBAL液またはCOVID-19患者では発現しなかった[15]。BAL液中のHAは、以前から急性呼吸窮迫症候群(ARDS)との関連が報告されており、HAの濃度と肺酸素化指数には有意な反相関が見られる(Modigand Hällgren,1989;Hällgren et al., 1989)。 また、HAには、放射線所見における肺血栓症およびすりガラス状陰影との関連が報告されている(Bhagat et al., 2012; Han et al., 2019; Jang et al., 2014)。

 

A-7.インフラマソーム

Inflammasome wikipediaでは、『インフラマソームは、炎症反応の活性化に関与する自然免疫系の細胞質ゾルの多タンパク質オリゴマーである[17][18]。インフラマソームの活性化と集合は、タンパク質分解による切断、炎症誘発性サイトカインであるインターロイキン1β(IL-1β)とインターロイキン18(IL-18)の成熟と分泌、およびガスデルミン-Dの切断を促進するます[19]。この切断から生じるN末端フラグメントは、ピロトーシス(ピロトーシスでは、核は無傷)と呼ばれる、アポトーシスとは異なる炎症誘発性のプログラムされた細胞死を誘発する。そして、おそらく原形質膜の細孔の形成を介して、成熟サイトカインの分泌に関与している[18]。インフラマソーム活性化の調節不全の場合、癌、自己免疫、代謝および神経変性疾患などのさまざまな主要な疾患が発生する可能性がある[18][19][20] 。インフラマソームの活性化は、微生物由来の病原体関連分子パターン(PAMP)または宿主細胞によって生成される危険関連分子パターン(DAMP)のいずれかに応答するさまざまな種類のサイトゾルパターン認識受容体(PRR)によって開始される[21]。』(wikipedia 「Inflammasome」より引用)[18]

『脳における生理的機能や病態において炎症が重要な役割を持つ。脳内炎症にはさまざまな分子・細胞メカニズムが機能するが、特にインフラマソームは新規の標的分子として注目されている。』(脳科学辞典「インフラマソーム」より引用)

主に白血球でのインフラマソームの強い発現が、肺損傷の領域において致命的なCOVID-19患者の肺内で検出されたとの報告がある。

『Toldo Sらによると、SARS-CoV-2のorf8bタンパク質は、in vitroでマクロファージのNLRP3インフラマソームを誘発する(同様の現象は、SARS-CoVのorf8bタンパク質でも見られた)。インターロイキン-1ファミリーサイトカインの調節解除されたインフラマソーム媒介性放出は、SARS-CoV-2媒介性サイトカイン放出症候群で起こるように、過炎症性症候群において重要である。激しいインフラマソーム形成は、肺炎と急性呼吸窮迫症候群(ARDS)による致命的なCOVID-19患者の肺を襲来する特徴的病態であることが明記できる。
主な白血球でのインフラマソームの強い発現が、肺損傷の領域において致命的なCOVID-19の患者の肺内で検出された。高倍率視野でのASCインフラマソーム斑点の数は、対照被験者の肺と比較して、致命的なCOVID-19患者の肺で有意に多かった(52±22対6±3・P = 0.0064)。これらの調査結果は、致命的なCOVID-19の肺におけるNLRP3インフラマソーム凝集体の存在を特定し、ウイルス感染とサイトカイン放出症候群の間の潜在的な分子リンクを提唱できる[22]。』(文献[22]を和訳し引用)

参照図:[23]Inflammasome Signaling:インフラマソームのシグナル伝達 | Cell Signaling Technology

 

また、
『NOD 受容体(NOD-like receptors)は、微生物モチーフと危険シグナルを認識し、自然免疫応答 に関わる細胞内パターン認識受容体ファミリーである。インフラマゾームは、NLRs・アダプタータンパク質と pro-caspase-1 からなる巨大タンパク質複合体で、caspase-1 を活性化して、炎症誘発性サイトカイン(IL-1β・IL-18・IL-33)のプロセシングと分泌・細菌によって誘導される細胞死 (pyroptosis)を制御する。さまざまな NLRsからなるインフラマゾームの中でも、特にNLRP3インフラマゾームは、多くの刺激によって活性化される。最近、特定のウイルスもNLRP3インフラマゾームを活性化することが明らかとなってきた[24]。』(文献[24]を和訳し引用)

 

A-8.不可思議な感染症COVID-19の病態

COVID-19が通常の感染症とは異なる不可思議な点を挙げると、

  • 伝染性が高い、呼吸困難を伴う異常なウイルス性肺炎の発生を引き起こす。
  • 多臓器における血栓症。。
  • 肺胞内にヒアルロン酸が産生されゲル化。
  • 炎症部位へのT細胞移動の減少。
  • 高い好中球/リンパ球比。
  • 神経細胞・血管内皮細胞・呼吸器系および消化管の上皮細胞など多彩な細胞への感染。
  • SARS-CoV-2が検出されなくなった回復期後にも続くLong COVID

など、SARS-CoV-2感染に伴う病因の分子基盤は完全には解明できていない。 SARS-CoV-2感染症における不可思議な病状の1つに、回復期後にも続く「Long COVID」が挙げられる。Long VOVIDは別名、「post-acute sequelae of COVID-19(PASC):COVID-19の急性後遺症」・ 「chronic COVID syndrome(CCS):慢性COVID症候群」・「long-haul COVID:長期化COVID」[25][26]など多くの名称で呼ばれ、診断基準も確定されていないため、現在、長期観察研究が継続中である。呼吸器系障害・神経系および神経認知障害・精神的健康障害・代謝障害・心血管障害・胃腸障害・倦怠感・筋骨格痛および貧血を含む後遺症を伴い、ほぼすべての臓器系に影響を与える可能性がある。特に、心筋梗塞・脳梗塞などの塞栓症には特に留意が必要である。

病気の特徴としては、再発性の寛解型の病気であり、回復したかのように感じているなかに病魔が襲ってくる。これは、COVID-19発症時の重症患者だけではなく、感染時に症状がなかった人や軽症者にも見られる。COVID-19感染者の大部分は感染から数週間以内に回復するが、一部の人は回復後も後遺症といわれるCOVID-19後状態が持続する。COVID-19後の病態は、要因となるSARS-CoV-2に感染してから、4週間以上後に感染者が経験する可能性があり、さまざまな病態を示し、新規または再発とみられる健康問題となる。主な病状としては、倦怠感・頭痛・息切れ・無嗅覚症(嗅覚喪失)・筋力低下・微熱・認知機能障害・脳梗塞・心筋梗塞など、さまざまな症状が報告されている。複数の症状が12週間以上も改善しない人がいるなど、実態は不明である[27][28][29][30][31][32][33]。

 

A-9.COVID-19を発症するSARS-CoV-2とは

コロナウイルスは、電子顕微鏡写真の形態が王冠に似ていることからラテン語の“corona”という名前が付けられた。哺乳類や鳥類で、軽度から致死的な気道感染症を発症するRNAウイルスである。国際ウイルス分類(命名)委員会(ICTV)にて、属名として受け入れられた(1971年)。属は、2009年に遺伝学的特徴からα・β・γ・δの4属に分けられ、BetacoronavirusはさらにA・B・C・Dの4系列を含む。ヒトと関連するcoronavirus(CoV)は、2つのαCoV(HCoV-229E・HCoV-NL63)と2つのβCoV(HCoV-OC43・HCoV HKU1)、さらに以下の3つの重症急性呼吸器症候群(SARS)を引き起こす。 ①重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV(2003年):β-CoV) ②中東呼吸器症候群関連コロナウイルス(MERS-CoV(2013年):β-CoV) ③重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2(2019年):β-CoV)
が同定された[34][35]。 Betacoronavirusの既知のコロナウイルスのリザーバーはコウモリとげっ歯類といわれている。Coronavirusは、すべてのRNAウイルスの中で26~32 kbと最大のゲノムを持つ[36]。

 

A-10.SARS-CoV-2の外部構造

脂質二重膜のエンベロープの中にNucleocapsid(N)蛋白に巻きついたプラス鎖の一本鎖RNAゲノムがあり、エンベロープ表面にはSpike(S)蛋白、Envelope(E)蛋白、Membrane(M)蛋白が配置されている(図2)。RNAは本来、環境中や生体内ではRNaseや環境因子により分解を受けやすいが、脂質二重層エンベロープ、膜タンパク質、ヌクレオカプシドにより保護されているため、宿主細胞外でも比較定安定である。この安定化状態で宿主細胞への侵入を図り、宿主細胞との膜‐膜融合により宿主細胞内にRNA成分を流出させ感染する。

SARS-CoV-2の構造

図2 SARS-CoV-2の構造

 

SARS-CoV-2 には、細胞表面受容体 ACE2 との相互作用を媒介する表面ウイルスタンパク質、つまりスパイク糖タンパク質 (S) がある。 SARS-CoV-2 のウイルス膜糖タンパク質 (M) とエンベロープ (E) は、ウイルス RNA を構成するらせん状ヌクレオカプシドを被包する宿主膜由来の脂質二重層に包埋されている。

Swatantra Kumar,et al. Coronavirus Disease 2019 (COVID-19). 2020 : 23–31. doi: 10.1007/978-981-15-4814-7_3 Fig. 3.1を引用

 

SARS-CoV-2ビリオン(virion:感染性を持つウイルス粒子)は、他のCoronavirusと同様に、スパイク(S)タンパク質三量体が突出するエンベロープと脂質二重層に囲まれた独特の表面突起を持つ約100nmの球形状の粒子である[37]。高密度にグリコシル化されたS三量体は、アンジオテンシン変換酵素2受容体(ACE2)に結合し、標的細胞にビリオンが侵入するのを仲介する[38][39][40][41][42]。Sは、OligomannoseからHybrid型・Complex型まで、多様なN型糖鎖(アスパラギン酸:Asn)構造が発現しており、O型糖鎖注1)(セリンもしくはスレオニン:Ser/Thr)についても、Core1,・Core2タイプの糖鎖が発現している[42]。その高密度かつ高度なグリコシル化の機能については充分には解明されていない。

注1)『N-型糖鎖とO-型糖鎖:糖鎖がタンパク質に結合する様式はこの2通りである。N-型糖鎖はアスパラギン(Asn)の側鎖の中のアミド窒素原子に糖鎖が結合する。このときのタンパク質のアミノ酸配列は、Asn-X-Ser/Thr(Xは任意のアミノ酸残基)である。一方、O-型糖鎖はセリン(Ser)あるいはスレオニン(Thr)側鎖の酸素原子に糖鎖が結合する。』(文献[43]より引用)

このように、高度にグリコシル化されたSが、このビリオンの感染受容体への親和性と感染機構の多様性を変幻させる可能性を持つと推察される。そのため、Sの変異ビリオンは感染受容体への親和性の強弱や病原性、ワクチン効果などに影響を及ぼす。また、Sは広範な高次構造の柔軟性を示す。それは、その受容体結合部位の露出を調節し、その後 ウイルス膜と細胞膜との融合を促進するために完全な構造再配列を受ける[38][44][45][46] 。受容体認識と細胞膜融合プロセスで重要な役割を果たすSARS-CoV-2のスパイク(S)タンパク質は、S1とS2の2つのサブユニットで構成されている。S1サブユニットには、宿主受容体ACE2を認識して結合する受容体結合ドメイン(RBD)が含まれ、S2サブユニットは、2ヘプタッドリピートドメインを介して6ヘリックスバンドル(Helix bundle:平行、または逆平行のいくつかのαヘリックスで構成される小さなタンパク質の三次構造)を形成することにより、ウイルス細胞膜融合を仲介する[47]。

個々のSARS-CoV-2ビリオンは、24±9 のSの三量体を有する[48]。ビリオンの小さな亜集団には少数の、大きなビリオンにはより多くのS三量体が含まれている。
SARS-CoV-2は大きなエンベロープを持ち、セグメント化されていないポジティブセンスの一本鎖RNA(ssRNA)を有するウイルスで[49]、最初に登録されたGenBank番号MN908947によると、9860のアミノ酸をコードする29,881 b(29903bp ss-RNA)の長いゲノムで構成されている[50]。遺伝子断片は、構造タンパク質と非構造タンパク質を発現する。

 

A-11.SARS-CoV-2ビリオンのゲノムと内部機構

SARS-CoV-2の約30kbのゲノムは14個のオープンリーディングフレーム(ORF)注2)で構成される。その約3分の2はレプリカーゼ(ORF1a/ORF1b)複合体を構成する16個の非構造タンパク質(nsp1–16)を [51][52]、残り3分の1は9つのアクセサリータンパク質(ORF)と4つの構造タンパク質(スパイク(S)・エンベロープ(E)・膜(M)・ヌクレオカプシド(N))をコードする。レプリカーゼ遺伝子は、転写とウイルス複製に関与する16の非構造タンパク質をタンパク質分解的に切断して活性化される大きなポリタンパク質(pp1ab)をコードする。S・E・MおよびN遺伝子は構造タンパク質としてコードされているが、重要な作用を持つ3-キモトリプシン様プロテアーゼ・パパイン様プロテアーゼ・RNA依存性RNAポリメラーゼなどの非構造タンパク質はORF領域にコードされる[53]。アクセサリータンパク質をコードする7つの推定ORFが構造遺伝子の間に散在している[54]。

注2)『オープンリーディングフレーム(Open Reading Frame; ORF) とは、DNAまたはRNA配列をアミノ酸に翻訳した場合に終了コード配列(termination codon;終止コドン)を含まない読み取り枠(Reading Frame)がオープンな(Open)状態にある(タンパク質に翻訳される可能性がある)塩基配列を指す。』(ウィキペディア「オープンリーディングフレーム」より引用)

 

A-12.SARS-CoV-2ビリオンの感染機構

球状のSARS-CoV-2ビリオン表面に特徴的に突出した多数のグリコシル化Sタンパク質3量体が、宿主細胞の受容体ACE2と結合し、ビリオンの宿主細胞への侵入を仲介する[55]。 Sタンパク質が受容体に結合すると、宿主細胞膜に位置する2型TMセリンプロテアーゼであるTMプロテアーゼセリン2(TMPRSS2)がSタンパク質を切断し活性化(cut)することにより細胞へのウイルス侵入を促進する。
ウイルスが細胞に侵入すると、ウイルスRNAが放出され、宿主細胞のリボソームを使ってポリタンパク質がRNAゲノムから翻訳される。ウイルスRNAゲノムの複製と転写が、タンパク質の切断とレプリカーゼ-転写酵素複合体の集合を介して行われる。ウイルス粒子が放出された後、ウイルスRNAは宿主細胞内で複製され、さらには構造タンパク質が合成され、組み立てられ、包装され、宿主細胞から排出されて、他の細胞への感染を求める [53]。

B.SARS-CoV-2ビリオンの細胞受容体への結合・侵入(感染)

B-1.SARS-CoV-2ビリオンの宿主細胞受容体への結合

一般的に、SARS-CoV-2ビリオンの感染はヒト宿主細胞への結合(付着)に始まり、細胞内侵入、感染細胞内でのゲノムRNAの翻訳、ウイルスの複製、排出のサイクルにより感染が拡大する。

SARS-CoV-2ビリオンのエンベロープ表面に散在するSタンパク質は、基本単位として三量体を成し、ヒト細胞の受容体への結合[38][56][57]と侵入機構に関与する。

(1)細胞受容体のACE2、および細胞カテプシンLとTMPRSS2もしくはfurinなどのホストプロテアーゼにより、タンパク質分解的にSARS-CoV-2のSタンパク質が切断され、結合が容易となる。SARS-CoV-2のSタンパク質は、S1/S2多塩基切断部位との直接接触を仲介するRBD(Receptor Binding Domain)をS1サブユニットに持ち [58][59][60]、S2サブユニットには、主にウイルス融合に密接に関連するHR1とHR2を含むHRドメインを含む[61]。これらの機能を使いSARS-CoV-2 Sタンパク質は、受容体ACE2を認識し、宿主細胞に結合する[57]。

ACE2はACEのホモログであり、アンジオテンシンIをアンジオテンシン1–9に変換する[62]。 ACE2は主に肺・腸・心臓・腎臓に分布しており、肺胞上皮II型細胞が主要な発現細胞である[63]。SARS-CoV-2はヒトhACE2をエントリー受容体として、ヒトプロテアーゼをエントリーアクチベーターとして使用する。ACE2と結合後は、ヒトプロテアーゼによって、タンパク質分解的に活性化される。また、SARS-CoV-2の細胞侵入は、プロタンパク質転換酵素furinによって事前に活性化を受け、侵入のための標的細胞プロテアーゼへの依存を減らしている[64]。

RBDの高いhACE2への結合親和性・スパイクのfurin前活性化およびスパイク内の隠れたRBDにより、SARS-CoV-2は、免疫監視を回避しながら効率的に細胞侵入を図っていることが推察できる。これらの機能は、ウイルスの広範な拡散にも関与していると思われる。また、Sの表面は高密度かつ高度にN-グリコシル化されている。このことは、後述する他のいくつかの複数補助受容体/補助タンパク質による多様な感染経路に関わっていることが考えられる。

コロナウイルスの宿主細胞への侵入機構は、まずビリオンがレセプターへ付着結合し、①宿主細胞の表面から細胞の中へ侵入する経路と、②エンドサイトーシスによりビリオン粒子が宿主細胞内に取り込まれ、エンドソームから宿主細胞内へ侵入する経路がある。

 

B-2.SARS-CoV-2は、宿主細胞受容体ACE2に結合し、ウイルスと宿主細胞との膜融合により感染

ACE2受容体との付着の前後に、Sは宿主細胞プロテアーゼ(例えば、furin・TMPRSS2)によって活性化され、標的細胞へのウイルス侵入を誘発する必要がある。 SARS-CoV-2 Sのユニークな特徴としては、多塩基部位およびfurinプロテアーゼによって認識されるアミノ酸モチーフの存在であり、その切断を受けSタンパク質が活性化される。

また、SARS-CoV-2の Sタンパク質は細胞膜間の融合を媒介し、ウイルスがビリオンに依存せずに広がり、隣接する細胞間でのウイルスが迅速に拡散できる可能性がある。ドナー細胞またはアクセプター細胞のいずれかでのfurinの喪失は、融合細胞形成を完全に防ぐ多塩基部位の変異とは異なり、TMPRSS2依存性の細胞間融合を減少させるが、防止はしないことを示した。Guido Papaらも、furinがSARS-CoV-2感染性と細胞間拡散の両方を促進する一方で、それは必須ではないことを示した[65]。

BA Johnsonらは、furin切断部位(ΔPRRA)を欠く変異SARS-CoV-2を用いて、SARS-CoV-2の感染におけるfurin切断部位の重要性を示した[66]。
TMPRSS2およびfurinは、原形質膜表面においてウイルス侵入を促進する。一方、カテプシンLは、エンドソームのSARS-CoV-2スパイクを活性化し、TMPRSS2を欠く細胞への侵入を補うことができる [67]。ヒト宿主細胞に侵入したビリオン粒子は、膜—膜融合によりウイルスの脱殻を生じ、SARS-CoV-2のゲノムが宿主の細胞質ゾルに放出されると宿主細胞質内でウイルスの複製が起きる。

 

B-3.感染後SARS-CoV-2はゲノム+ssRNAをポリペプチド(PP)鎖に翻訳

(2)TMPRSS2とfurin注3)などの宿主細胞のプロテアーゼを使い、Sタンパク質の切断により活性化されたSARS-CoV-2は、宿主細胞内へ侵入する。膜—膜融合により細胞質ゾルに放出されたSARS-CoV-2のプラス鎖ゲノムRNAは、すでに5’キャップ構造と3’Aテールを持ち、そのままmRNAとして機能する。ウイルスゲノム(+ ssRNA)は宿主細胞のリボソームを使って、800KDaの大きなポリペプチド(PP)鎖に翻訳される。

PPは、自身のゲノムにコードされたパパイン様プロテアーゼ(PLpro)と3-キオモトリプシン様プロテアーゼ(3CLpro)の2つのプロテアーゼを使って自己タンパク質を分解的に切断活性化し、機能性ペプチドを生成する。さらに、プロテアーゼおよびRNA依存性RNAポリメラーゼなどを巧みに使い、宿主細胞を制御しながら5 ’非翻訳領域の後にレプリカーゼ複合体と呼ばれる16の非構造タンパク質(オープンリーディングフレーム;ORF1aおよびORF1b複合体)と構造タンパク質を生成する。

 

コロナウイルスのポリタンパク質プロセシングと非構造タンパク質

図3 コロナウイルスのポリタンパク質プロセシングと非構造タンパク質

 

Coronavirusポリタンパク質プロセシングと非構造タンパク質(nsp)のドメインは、SARS-CoVについて説明されている。ポリタンパク質pp1aおよびpp1abのタンパク質分解切断は、nsp3(PL pro)およびnsp5(M pro)に存在するウイルスプロテアーゼによって促進される。 PLproタンパク質分解により、nsp1、nsp2、nsp3、およびnsp4のアミノ末端がポリタンパク質pp1aおよびpp1abから放出される(青い矢印で示す)。 Mproはタンパク質分解によりnsp5–16とnsp4のカルボキシ末端をポリタンパク質pp1aとpp1ab(赤い矢印で示す)から促進する1)。保存されたドメインと既知の機能はnsp1-16(2),3),4),5))について概略示した。1)PMID: 19430490, 2): PMID: 10823872, 3): PMID: 27712628, 4): PMID: 12917450. 5): PMID: 29128390

DMV、二重膜小胞;  DPUP、ドメイン先行Ubl2およびPLpro ; EndoU、エンドリボヌクレアーゼ;  ExoN、エキソリボヌクレアーゼ;  HEL、ヘリカーゼ; Mac I–III、マクロドメイン1–3;  Mpro、メインプロテアーゼ;  NiRAN、ニドウイルスRdRP関連ヌクレオチジルトランスフェラーゼ;  NMT、グアノシンN 7 -メチル; OMT、リボース2‘ -O-メチルトランスフェラーゼ; PLpro、パパイン様プロテアーゼ; Pr、プライマーゼまたは3 '末端アデニリルトランスフェラーゼ; RdRP、RNA依存性RNAポリメラーゼ;  TM、膜貫通ドメイン;  Ubl、ユビキチン様ドメイン;  Y、YおよびCoV-Yドメイン; ZBD、亜鉛結合ドメイン

V’kovski, P., et al. Nat Rev Microbiol 19, 155–170 (2021). https://doi.org/10.1038/s41579-020-00468-6 Fig3を和訳改変

 

(3)ORF1aとORF1bはウイルスのレプリカーゼタンパク質によって翻訳され、個々のnspに切断される(宿主とウイルスのプロテアーゼ:PLproを介して)。これらはRNA依存性RNAポリメラーゼ(ORF1bに由来するnsp12)を形成する[68]。
プラス鎖ゲノムRNAを鋳型として、合成された相補的マイナス鎖RNAをもとにし、それぞれのウイルス蛋白質が翻訳されるmRNAが転写され、ウイルス蛋白質が作られる。また、子孫ウイルス用のプラス鎖ゲノムRNAの複製も行われる。

構造タンパク質S・E・M・Nなど、3’末端に向かって存在する他のアクセサリータンパク質も同様に生成される。ゲノムの翻訳と複製を終えると、NSP・構造タンパク質・アクセサリータンパク質が、ポジティブセンスウイルスRNAゲノムとともに集合し、被包する。そして新しいビリオンを形成し排出されて、次の感染細胞を求める。

SARSコロナウイルスでは、非構造タンパク質16(nsp16)がウイルスにコードされたmRNAの5’末端をメチル化して細胞のmRNAを模倣し、宿主の自然免疫制限からウイルスを保護する[69]。

(4)(viIrus controls the celuular machinery:ウイルスは細胞機構を制御する。) これにより、レプリカーゼ成分は、小胞体(ER)を二重膜小胞(DMV)に再配列し、ゲノムおよびサブゲノムRNA(sgRNA)のウイルス複製を促進する。sgRNAは、ウイルス粒子の形成を促進するアクセサリーおよびウイルス構造タンパク質に翻訳される [70][71]。

(5)[packaging of new viruses] 一連のタンパク質と一本鎖RNAからヒト細胞内で新たに合成されたウイルス構造タンパク質(S・E・M蛋白質)粒子1セットは、小胞体―ゴルジ装置中間体(ERGIC)へと送られ、再構成・包装後、ウイルス粒子を形成する。ERGIC内に出芽したウイルス粒子は、エクソサイトーシス(ライフサイエンス辞書 「Exocytosis」:細胞内の顆粒や小胞の細胞膜融合により素量的に分泌される様式より引用)によって、細胞外へSARS-CoV-2ビリオンを排出し、さらに周囲の細胞へと感染を拡大する。

このようにSARS-CoV-2は、ヒト細胞の手厚い貢献を受け、細胞内に招き入れてもらい、宿主細胞により多くの多機能性の病原因子nspを生み、さらに子孫ウイルスまでも複製して次の感染細胞を求め排出される。SARS-CoV-2の高度な糖タンパク質と宿主細胞表面の糖タンパク質とを介した感染伝播の機構は、多様かつ巧妙であり充分に解明されたとは言えない。特に、体内に侵入したウイルスについてはビリオン形態の伝播だけではなく、他のRNA virus感染症でも見られる”internalize the virus”および"trans-infection”などを含めた臓器間伝播および病態を解明すべきかもしれない。また、宿主細胞内で創生され、当感染症の本態とも言える16の非構造タンパク質 (nonstructural proteins:nsp)の作用機序についても詳細な多くの研究成果が報告されている。

表1 コロナウイルスの非構造タンパク質とその機能

コロナウイルスの非構造タンパク質とその機能

Fernando Moreira Simabuco et al. DOI: https://doi.org/10.1590/1678-4685-GMB-2020-0212
Table 1にPhilip V’kovski et al,  doi: 10.1038/s41579-020-00468-6. table3の一部を加筆、編集

 

注3)『furinはタンパク質分解酵素であり、ヒトではFURIN遺伝子にコードされている。furinはPACE(Paired basic Amino acid Cleaving Enzayme)としても知られている。サブチリシン様プロタンパク質転換酵素ファミリーに属する。このファミリーのタンパク質は、活性がないタンパク質前駆体を生物学的に活性のある産物に加工するプロタンパク質転換酵素である。このタンパク質はカルシウム依存セリンエンドプロテアーゼであり、活性部位の対となる塩基性アミノ酸のところでタンパク質前駆体を効率的に切断する。furinはゴルジ体に多く、他のタンパク質を切断し、成熟型または活性型に変換する。furinは塩基性アミノ酸標的配列(標準的には、Arg-X-(Arg/Lys) -Arg)の直後を切断する。細胞の前駆体タンパク質の加工に加え、多くの病原体にも利用される。』( Wikipedia 「Furin(タンパク質)」より一部引用))

 

B-4.SARS-CoV-2感染における他の補助受容体
B-4-1.ANPEP・ENPEP・DPP4も補助受容体候補か

ACE2は、SARS-CoVの既知の受容体である。また、ANPEPとDPP4もこれまでの研究によりヒトCoVの既知の受容体として知られている[64][72]。SRAS-CoV-2の感染組織の中には、ACE2の発現が低く付着困難な細胞もある。このような中においてその機構は不明ながらもANPEP(Alanyl Aminopeptidase)・DPP4(Dipeptidyl Peptidase-4)およびENPEP(glutamyl aminopeptidase)が補助受容体の候補として特定され、ACE2と最も類似した発現パターンを示したと報告された[73]。

Furong Qiらは、『ACE2は肺・肝臓・胃・回腸・腎臓・結腸で発現していたが、肺では発現レベルがかなり低かった。 SARS-CoV-2は、ACE2をパートナーとした、ANPEP・DPP4および ENPEP を含むペプチダーゼ類からなる補助受容体/補助タンパク質を使用してウイルスの宿主細胞への侵入を促進する可能性がある』と述べている[74]。
『ENPEP遺伝子は、細胞外亜鉛結合ドメインを持つII型内在性膜タンパク質であるグルタミルアミノペプチダーゼをコードする。このタンパク質は、アンジオテンシンIIからN末端アスパラギン酸を切断することによって血圧をアップレギュレートすることができ、血管形成を調節し、一部の組織の腫瘍形成を促進することができる。ENPEPは、ANPEPおよびDPP4とともに、COVID-19を引き起こすコロナウイルスSARS-CoV-2の補助受容体候補であることが判明した[75]。』([76]より引用)

DPP4 (CD26)は、多くの免疫細胞で発現し、それらの機能を調節するエクトペプチダーゼ(膜貫通、原形質膜タンパク質)で、DPP4 の阻害は 2 型糖尿病の治療に用いられている。DPP4 は、SARS-CoV-2の細胞侵入を媒介する ACE2 の補助受容体として働くことが示唆されている。DPP4 は、脈管構造・肺・腎臓・小腸および心臓内の上皮細胞および内皮細胞を含む、さまざまな細胞および器官で発現している。 また、DPP4 は、追加の共受容体に依存せず、肺へのウイルス侵入を媒介すると仮定されている[77]。したがって、それは致命的な COVID-19 で観察される極度の炎症反応の主要な原因であると示唆されている[77]。ANPEP・DPP4・ENPEP遺伝子は、多くの呼称を持つため区別には注意が望まれる。

B-4-2.SARS-CoV-2・Neuropilin-1(NRP1)とNeuropilin- 2(NRP2)受容体に結合

SARS-CoV2の完全長スパイク糖タンパク質は、S1/S2サブユニットの境界にホストプロテアーゼfurin様酵素の切断モチーフRxxR(680SPRRAR↓SV687)を持っている。furinの S1/S2での切断は、ウイルスの標的細胞への効率的な付着と侵入にとって重要である[78]。
furinによりS糖タンパク質が切断されると、S1サブユニットのC端に多塩基性配列のArg(アルギニン)-Arg-Ala(アラニン)-Argが生成する。この配列は、細胞表面に存在する Neuropilin-1(NRP1)とNeuropilin- 2(NRP2)受容体に結合するC末端規則(CendR)モチーフに準拠し、S1CendRモチーフがNRP1に直接結合することが示されている。
NRP1だけでは感染を支持できないが、ホストプロテアーゼのTMPRSS2の存在下では、NRP1はSARS-CoV-2 のACE2への感染を顕著に促進した。ACE2の発現が少ない細胞への結合率を高める手段と考えられる。
一方で、furin切断部位が変化したSARS-CoV-2変異体は、感染力をNRP1に依存しなかった。NRP1は、SARS-CoV-2感染の宿主因子としてのウイルス受容体と侵入補因子の利用性が見られた。NRP1は呼吸器および嗅上皮で豊富に発現しており、内皮細胞および上皮細胞で最も多く発現していた[79]。ヒトCOVID-19剖検から得られた嗅上皮の病理学的分析では、SARS-CoV-2が鼻腔に面しているNRP1陽性細胞に感染していた。
最近の報告では、8アミノ酸のコアモチーフ(切断部位のN末端6残基とC末端2残基)が定義されfurinモチーフが長くなっている[80]。S1/S2部位をfurinで効率的に切断するにはRRxRが必要であり、このコアに隣接する変異も切断効率に影響を与えることがわかった[81]。

B-4-3.C型レクチン受容体CD209L/L-SIGNおよびSiglecを侵入の代替受容体

『レクチン(lectin)とは、糖鎖に結合活性を示すタンパク質の総称で、シグナル伝達受容体としてのC型レクチン(CLR)をいう。Ca2+依存性とCa2+非依存性の炭水化物結合レクチンを区別するために導入された。C型レクチン受容体(CLR)は、適応免疫応答を調節するシグナル伝達経路の誘導を調整する上で重要な役割を果たす。樹状細胞によって発現されるC型レクチン受容体(CLR)は、病原体に対する免疫応答を調整するために重要である。病原体の結合に続いて、CLRは、T細胞分極の運命を決定する特定のサイトカインの発現を誘導する別個のシグナル伝達経路をトリガーとする。一部のCLRは、核因子-κBを直接活性化するシグナル伝達経路を誘導するが、他のCLRはToll様受容体によるシグナル伝達に影響を及ぼす。これらのシグナル伝達経路と宿主免疫細胞に対する影響を分析することは、適応免疫応答の誘導に関与する分子メカニズムを理解するために不可欠である。CLRは、少なくとも1つの炭水化物認識ドメインを共有する。これは、保存された残基モチーフを含み、CLR7の炭水化物特異性を決定するコンパクトな構造モジュールである[82]。CLRには、可溶性タンパク質と膜貫通タンパク質の両方が存在する。』(文献[83]の一部を和訳し引用)
特定のCLRは、ウイルスと効率的に相互作用するため、ウイルス感染において重要な役割を果たす。しかし、致命的なウイルスがCLRの機能を破壊して、抗ウイルス免疫を逃れ、感染を促進することが明らかとなった。特に、ウイルスはCLRを標的にして、先天的かつ適応的な防御において中心的な役割を果たすI型インターフェロンを抑制または調節する[84]。
同様に、生体内において強い糖鎖反応を呈するレクチンとしてSiglec(シグレック)注4)が挙げられる。

注4)『Siglec(シアル酸結合免疫グロブリン-タイプレクチン)は、シアル酸と結合する細胞表面タンパク質である。 主に、免疫細胞との表面に見られるI型レクチンの一種である。哺乳類では14種が見つかっており、細胞表面受容体―リガンド相互作用に基づき多様な機能を発揮する。』(ウィキペディア「SIGLEC」より引用)

B-4-4.複数のCLRがSARS-CoV-2 S をグリカン依存的に結合する

『複数のAsn結合(N-グリカン)といくつかのSer/Thr結合(O-グリカン)[85][86]で高密度にグリコシル化された、SARS-CoV-2のSタンパク質は、以下を含むさまざまな自然免疫受容体のリガンドを提示する可能性がある。S三量体は、C型レクチン受容体CD209L/L-SIGNおよびCD209/DSIGNがSARS-CoV-2のヒト細胞への侵入の代替受容体として機能することが報告された[87]。 特定のグリカンでは、主にCa2 +依存的に結合することが知られている。C型レクチン受容体(CLR)[88][89]、DC-SIGN/CD209・L-SIGN/CD209L/CLEC4M・マンノース受容体/MR/MRC1/CD206・MGL/CLEC10A/CD301およびDectin-2 / CLEC6Aは、単球・樹状細胞およびマクロファージなどのヒト免疫系内で高度に発現し、侵入するウイルスや病原体に対する防御の第一線として機能する[90][91]。パターン認識受容体やCLR特にDC-SIGNは、Toll様受容体が誘導する活性化を調節することにより、グリカン特異的な方法で多数の病原体に対する宿主免疫応答を誘導することができる[92]。』(文献[87]の一部を和訳し引用)

CD209Lは、中小血管の肺および腎臓の上皮細胞・内皮細胞において顕著な発現が見られたが、CD209は限られた数の細胞型でのみ検出された。異所的に発現したCD209LおよびCD209がS-RBDに結合し、SARS-CoV-2S疑似型ウイルスの侵入を媒介することが明らかになった。ヒト内皮細胞が、内因的にCD209Lを発現し、SARS-CoV-2感染を許容することを示している。可溶性CD209L-Fcはウイルス侵入を中和した。これは、CD209LとCD209が血管系を含む疾患関連細胞型におけるSARS-CoV-2の代替受容体として機能することを示している。C型レクチンドメインは、カルシウム依存性グリカン認識ドメインとして機能する[93][94]

C.SARS-CoV-2感染による自然免疫の抑制機構

C-1.重度のCOVID-19の要因としてSARS-CoV-2分泌糖タンパク質とCD33関連Siglecが関与か

重度のCOVID-19感染の一般的な決定要因は、SARS-CoV-2の分泌糖タンパク質とCD33関連のSiglec・Siglec-3およびSiglec-5/14との相互作用によって説明できる。『SARS-CoV-2スパイクグリカンには、いくつかのシアル酸残基が含まれている。
SARS-CoV-2分泌糖タンパク質 SGP (secreted glycoprotein)は、免疫機能を調節することが知られている、宿主免疫細胞上のシアル酸結合シグレックの潜在的なリガンドである。Siglec-5と-14はペアの受容体であり、NLRP3インフラマソームに対して反対の作用を示す。これは、初期のウイルスクリアランスに重要である。 Siglec-14 null遺伝子型の人(黒人・アジア人・少数民族(BAME)の人では30〜70%、北欧人では10%)のSGP結合は、非対抗の阻害シグナル伝達を誘導し、インフラマソーム抑制を通じてウイルスの持続を引き起こす。 Siglec-3(CD33)およびSiglec-5は、CD33骨髄由来サプレッサー細胞(CD33 MDSC)で発現する。免疫抑制CD33MDSC集団は、重度のCOVID-19感染のリスクがあるすべてのグループで増加する。
CD33 発現は、アルツハイマー病に関連する CD33 rs3865444 CC 対立遺伝子を持つ人で増加し、その結果、感受性が高まる。癌で発生するように、 潜在的にSiglec-5と組み合わせたCD33のウイルスSGPライゲーションは、CD33 MDSC 細胞の拡大を大きく促進する。 CD33は、CNSミクログリアに発現しており、SGP が多孔性篩板を貫通することで活性化され、無嗅覚症を引き起こす可能性がある。 重症または致命的なCOVID-19 症例のジェノタイピングは、この病態生理学的メカニズムを確認または反証することができる。初期のデータは、提案されたメカニズムと一致して、深刻なCOVID-19感染におけるCD33 MDSC数の非常に高いレベルの増加を確認した[95]。』(文献[95]の一部を和訳し引用)

SARS-CoV-2の感染受容体は、ACE2だけではなく、ペプチダーゼであるANPEP・DPP4とCタイプレクチンであるDC-SIGN・MGLそれにSiglecも関係している可能性がある。しかも、これらの受容体は、免疫細胞も含め体内の組織に広く発現している。さらに糖鎖結合で興味深いのは、COVID-19の重症化にABO血液型の関与が報告されたことである[96]。このコホートでは、血液型固有の分析により、血液型Aの方が他の血液型よりもリスクが高く(オッズ比1.45;95%CI 1.20〜1.75;P = 1.48×10-4)、保護効果が示された。他の血液型と比較した血液型Oの場合は、オッズ比、0.65;95%CI、0.53〜0.79;P = 1.06×10-5であった。

C-2.SARS-CoV-2 非構造プロテアーゼの自然免疫抑制

SARS-CoV-2が効率良くヒトの呼吸器に感染するためには、S蛋白質のfurin切断サイトが必要であり、さらにTMPRSS2によるS蛋白質の活性化が重要であることが示されている[39][97][98]。宿主細胞に感染したSARS-CoV-2は、感染後すぐに++ssRNAゲノムを翻訳し、一本のポリタンパク質を生成する。非構造タンパク質として、ゲノムにコードされたメインプロテアーゼ(3キモトリプシン様プロテアーゼ(3CLproまたはMpro;非構造タンパク質5,nsp5))と、パパイン様プロテアーゼ(papain-like protease:PLpro;非構造タンパク質3,nsp3の一部)の二つのプロテアーゼを持っている。この2つのプロテアーゼ酵素は、ウイルスRNAから翻訳されるポリタンパク質の処理に不可欠である。3CLproは、ホモサブユニットの2量体で翻訳ポリタンパク質をpp1aとpp1ab(レプリカーゼ 1ab、約 790 kDa)に、さらには11箇所を切断して活性化し機能性タンパク質を生成する。ほとんどの部位の認識配列は Leu-Gln↓(Ser, Ala, Gly) である(↓ は切断部位を示す)。この酵素の活性を阻害すると、ウイルスの複製がブロックされる。

PLproはサブユニット1つのプロテアーゼで、SARSポリプロテインの特定化した3箇所を切断すると同時に、感染宿主細胞のタンパク質のいくつかを切断する。その重要な作用として、インターフェロン経路においてIRF3 (Interferon responsive factor 3)には、インターフェロン刺激依存的に合成されるISG15 (Interferon-stimulated gene 15)が連結されることが知られている。インターフェロン刺激遺伝子15(ISG15)はユビキチン様タンパク質であり、その発現と標的への結合(ISGylation)は、感染・インターフェロン(IFN)-αおよび-β・虚血・DNA損傷および老化によって誘導される。SARS-CoVの研究から、PLproはユビキチンとIGS15を分解することが知られている。同様の作用を持つSARS-CoV-2-PLproは、ユビキチンよりもISG15に強い親和性を持ち結合・分解する。 これまでは、ISGylationのさまざまな細胞内病原体の侵入・複製・放出を阻止するISGylationの抗ウイルス効果が注目されてきた。しかし、SARS-CoV-2の感染によりSCoV2-PLproは、インターフェロン応答因子3(IRF3)からのISG15の切断に寄与し、I型インターフェロン応答を減衰させる[99]。感染細胞でSCoV2-PLproを化合物にて阻害すると、抗ウイルスインターフェロン経路が増強して、ウイルス複製が減少した。

これにより、IRF3やTBK1 (Tank-binding kiase 1+NF-κB経路の活性化因子)のリン酸化が減少し、I型インターフェロン経路を抑制する。したがって、自然免疫反応に重要なISGylationが阻害され、インターフェロン(interferon)産生が妨害されることで、ウイルス感染への初発の防御システムの一部が回避される。このようにPLproは、宿主抗ウイルス免疫応答に対する回避機構として、宿主タンパク質上のタンパクの翻訳後修飾の開裂に関与している[100][101]。

C-3.COVID-19におけるIFN応答

前述のように、IFNの調節不全がCOVID-19の病因を決定する重要因子となることがうかがえる。I型およびIII型IFNを含む自然免疫インターフェロン(IFN)は、重要な抗ウイルスメカニズムを構成する。最近の研究では、IFNの調節不全がCOVID-19の病因を決定する重要因子である可能性が高くなっている。重度のCOVID-19の初期段階での効果的なIFN刺激またはIFNの予防的投与は、自律的な抗ウイルス状態を誘発し、ウイルス感染を制限し、COVID-19の進行を防ぐ可能性がある[102]。 IFN応答をブロックする先天性の遺伝的欠陥と自己反応性抗体は、COVID-19患者の約14%の致命的要因と有意に関連している。 IFN関連遺伝子座に遺伝的エラーのない最も重症のCOVID-19患者では、IFN調節不全が徐々に悪化し、自己免疫を起こしやすい炎症誘発性および免疫障害に関連している。さらに、重度のCOVID-19と年功序列・男性および既存の併存疾患のある個人との高い相関関係は、IFN異常の一致によって最も合理的に説明される。参照図:fig1[103]

C-4.SARS-CoV-2は、スプライシング・翻訳およびタンパク質輸送を妨害して、宿主防御を抑制する

Nsp:非構造タンパク質(non-structural protein)SARS-CoV-2は、少なくとも1から16まである。
『・NSP16は、U1 / U2 snRNA(核内低分子RNA)のmRNA認識ドメインに結合し、mRNAスプライシングを妨害する。
・NSP1は、リボソームのmRNAエントリーチャネルに結合してタンパク質の翻訳を妨害する。
・NSP8およびNSP9は、シグナル認識粒子に結合し、タンパク質輸送を妨害する。
・タンパク質産生のこれらの混乱は、感染に対するインターフェロン応答を抑制する[104]。
これらのタンパク質は、SARS-CoV-2タンパク質とヒトRNA間の相互作用を包括的に明らかにする。NSP16は、U1および U2 スプライシングRNAのmRNA 認識ドメインに結合し、SARS-CoV-2感染時にグローバルな mRNA スプライシングを抑制する。NSP1は、リボソームのmRNAエントリーチャネルで18SリボソームRNAに結合し、感染時にmRNAの翻訳を全体的に阻害する。最後に、NSP8と NSP9は、シグナル認識粒子の7SL RNAに結合し、感染時に細胞膜へのタンパク質輸送を妨害する。これらの本質的な細胞機能のそれぞれの破壊は、ウイルス感染に対するインターフェロン応答を抑制するように作用する。この結果は、SARS-CoV-2が宿主防御を抑制するために不可欠な細胞プロセスに拮抗するために利用する多面的な戦略を明らかにした。』(文献[104]の一部を和訳し引用)

SARS-CoV-2非構造タンパク質1(Nsp1)は、宿主遮断因子とも呼ばれ、宿主の自然免疫機能を抑制する。SARS-CoV-2は、Nsp1による翻訳のグローバルな阻害とウイルスmRNAの効率的な翻訳を組み合わせて、ウイルス遺伝子の発現を可能にすることを示唆している[105]。

C-5.SARS-CoV-2は、宿主のタンパク質合成を阻害するために多面的な戦略を使用する

『コロナウイルスは、宿主のmRNAの翻訳を抑制してウイルスのmRNAの翻訳を可能にするさまざまなメカニズムを発達させると同時に、細胞の先天性免疫応答をブロックする[106]。SARS-CoV-2のいくつかの異なるタンパク質は、以前に宿主の発現を遮断することに関与していたが、細胞の遺伝子発現に対するSARS-CoV-2感染の影響の包括的な全体像が欠けていた。ここでは、RNA シーケンシング・リボソームプロファイリング・新たに合成されたRNAの代謝標識を組み合わせて、SARS-CoV-2 が細胞タンパク質合成を遮断するために使用するメカニズムを包括的に明確化した。感染が翻訳のグローバルな減少につながることを示しているが、ウイルスの転写産物は優先的には翻訳されていない。代わりに、感染により細胞質ゾル細胞のmRNAの分解が加速され、感染した細胞の mRNAプールのウイルスによるテイクオーバーが促進されることがわかった。Finkel, Y.らは、感染に応答して誘導される転写産物(自然免疫遺伝子を含む)の翻訳が損なわれていることを明らかにした。これは、新たに転写された細胞のmRNAがリボソームにアクセスするのを防ぐ。 おそらくこの障害が、核mRNAの搬出の阻害によって媒介されていることを示している。結果として、SARS-CoV-2が翻訳機構を乗っ取り、ホストの防御を抑制するために使用する多面的な戦略を明らかにした。』(文献[106]の一部を和訳し引用)

C-6.SARS-CoV-2 NSP1とヒトリボソーム上の mRNA の間の動的競合が翻訳開始を阻害する

NSP1は、ヒト開始因子によって調節されるヒトリボソームの小さな(40S)サブユニットに直接結合する。また、NSP1とmRNAは互いに競合してリボソームに結合する。Christopher P.らの調査結果では、リボソームの小さなサブユニットにNSP1が存在すると、mRNA の適切な調節が妨げられることが示唆された。この競争が翻訳開始の多くのステップをどのように混乱させるかは、今後の研究の重要な課題と言える [107]。

C-7.SARS-CoV-2 ORF3b は強力なインターフェロンアンタゴニストであり、その活性は自然に発生する伸長バリアントによって増強する

Y. Konno.らはSARS-CoV-2感染時の免疫活性化を決定するウイルス因子として、SARS-CoV-2によってコードされる遺伝子であるORF3bを発見した。ORF3bは、強力なIFNアンタゴニスト注5)として作用した。
SARS-CoV-2をより病原性の高い対応物として区別する特徴の1つとして、SARS-CoV のORF3b遺伝子には未熟な終止コドン注6)が存在する。SARS-CoV-2 ORF3bが強力なインターフェロンアンタゴニストであり、SARS-CoVオルソログ注7)よりも効率的にI型インターフェロンの誘導を抑制した。ORF3bの抗IFN活性は、そのC末端の長さに依存する。さらに、約17,000のSARS-CoV-2配列の分析から、より長いORF3bリーディングフレームが再構成された天然のバリアントを特定した。本バリアントは、重篤な疾患を持つ 2 人の患者から分離され、このORF3bはインターフェロン誘導抑制能力をさらに高めた。この調査結果は、COVID-19患者のインターフェロン反応の悪さを説明するだけでなく、COVID-19の病因に潜在的に影響を与える可能性のある拡張ORF3b遺伝子を持つ天然のSARS-CoV-2準種の出現についても警鐘した[108]。

注5)アンタゴニスト(antagonist) とは、生体内の受容体分子に働いて神経伝達物質やホルモンなどの働きを阻害する拮抗物質

注6)未成熟終止コドン(premature termination codon:PTC) 『正常な終止コドンより5’末端側に出現した終止コドン。センスコドンが終止コドンに変化したナンセンス変異や翻訳の読み枠がずれた場合に出現する終止コドンを指す。』([109]より引用)

注7)『「オルソログ」とは、共通の祖先遺伝子から種分岐に伴って派生した遺伝子間の対応関係、もしくは、そのような対応関係にある遺伝子群を指し、生物種間のシンテニーに基づいたゲノム進化や遺伝子機能を推定する上で重要な手掛かりとなります。PGDBjオルソログDBは、異なる生物種間におけるアミノ酸配列の類似性に基づいた遺伝子のオルソログ情報を蓄積したデータベースです。』(PGDBj-オルソログデータベース説明より引用)

C-8.生命を脅かすCOVID-19患者におけるI型IFN免疫の遺伝学的要因

Zhang Q らは、Toll様受容体3(TLR3)およびインターフェロン調節因子7(IRF7)依存性I型インターフェロン(IFN)免疫に関連する13の候補遺伝子座について調査した。 生命を脅かす重度のCOVID-19患者659人の中で、23人(3.5%)に13種類の候補遺伝子座が確認された。この中で、4人に常染色体劣性(AR)欠損症(IRF7およびIFNAR1)、19人に常染色体優性(AD)欠損症(TLR3・UNC93B1・TICAM1・TBK1・IRF3・IRF7・IFNAR1およびIFNAR2)が根底にあった。
しかし、これらの患者は、致命的な他のウイルス性疾患で入院したことはなかった。IRF7欠損患者の形質細胞様樹状細胞は、SARS-CoV-2に感染してもI型IFNを産生しなかった。また、TLR3-/-・TLR3+/-・IRF7-/-および IFNAR1-/-線維芽細胞は、in vitroでSARS-CoV-2感染に対して感受性が高かった。

これらは、既知(AR IRF7およびIFNAR1欠損症、またはAD TLR3・TICAM1・TBK1およびIRF3欠損症)または新規(AD UNC93B1・IRF7・IFNAR1およびIFNAR2欠損症)遺伝子欠損症TLR3およびIRF7に依存するI型IFNの誘導および増幅に関与する13の候補遺伝子座のうちの8つで、この発見により、SARS-CoV-2 感染の制御において、二本鎖RNAセンサーTLR3とI型IFN細胞固有の免疫の両方に不可欠な役割が明らかになった[110]。
さらにBastardらは、重症のCOVID-19患者の約10%で、I型IFN-α2および IFN-ωに対する中和自己抗体の高い力価を持つ個人を特定した。これらの自己抗体は、無症候性または軽症感染者および健康な個人のいずれからも検出されなかった[111]。参照図:[112]

C-9.interalize the virus(ウイルスの内在化)

VIRUSATTACHMENT(付着・吸着)に続くウイルスによる細胞の侵入。これは、エンドサイトーシス、ウイルス膜と細胞膜との直接膜融合、またはウイルス全体の細胞膜を通過する移動によって達成される。しかし、SARS-CoV-2は、保有する糖タンパク質の特質により細胞に接着しただけの状態で、移動もしくは内在化し感染可能な細胞への侵入機会をうかがうことも考えられる。したがって、多様な細胞感染経路を念頭に置くべきである。

C-10.SARS-CoV-2スパイクタンパク質は複数の先天性免疫受容体と相互作用する

ACE2を欠く肺内および肺外の免疫細胞および非免疫細胞におけるウイルス感受性が報告されており、Sタンパク質が感染のために追加の受容体を利用する可能性があることが示唆されている。研究により、C-レクチン型受容体(CLR)・トール様受容体(TLR)・ニューロピリン-1(NRP1)・非免疫受容体グルコース調節タンパク質78(GRP78)などの自然免疫系とSタンパク質との相互作用が実証されている。Sタンパク質の表面にクラスター化された炭水化物部分の認識は、受容体依存性内部移行を推進し、重度の免疫病理学的炎症を強調し、ACE2とは関係なく感染の全身的な広がりを可能にする可能性がある[113]。
Gao,C.らは、新型コロナウイルスSARS-CoV-2のスパイク(S)糖タンパク質が、Cタイプレクチン受容体(CLR)であるマンノース受容体MR/CD206・DC-SIGN/CD209・ L-SIGN/CD209LおよびMGL/CLEC10A/CD301を含む複数の自然免疫細胞が持つ受容体にグリカン依存的に結合できることを示した。これらは免疫細胞の、単球・樹状細胞・マクロファージなどに広く発現している。細胞受容体とSとの結合は、ピコモル範囲の親和性を有し、受容体リガンドとしてさまざまなN-およびO-グリカンを示すSのグリコシル化分析と一致している。このことは、SARS-CoV-2がヒト細胞と相互作用するための複数の経路の存在が考えられる[113]。
パターン認識受容体、CLR、特にDC-SIGNは、Toll-like receptor(TLR)が誘導する活性化を調節することにより、グリカン特異的な方法で多数の病原体に対する宿主免疫応答を誘導できる[92]。しかし、SARS-CoV-2の感染症では、感染したヒトの80%以上は、血中リンパ球数が減少し、重症者では好中球とリンパ球の比率(NLR)が上昇、さらに気管支肺胞洗浄液中には異常に活性化したマクロファージの存在も報告されていることなどより、これら免疫細胞がSARS-CoV-2の感染を受けていることが示唆される。さらに、COVID-19の重症者ではT細胞数が有意に減少することなどから推察し、SARS-CoV-2は主にリンパ球、特にTリンパ球に作用する可能性が疑われる。細胞の表面は、高密度に高度な糖タンパク質に覆われ、構成糖質による特異的な細胞間での接着やシグナル交換などが行われているが、未解明な部分も多い。これらの事象より、SARS-CoV-2Sの多様な感染機構・宿主細胞への付着・ウイルスの内在化・cell to cell(trans)[114][115]などが推察される。観察されたピコモル単位での親和性の強さによる相互作用は、これらの受容体の中でもDC/L-SIGNが許容的にACE2へのウイルスの転送を促進することを示している。Sの受容体依存性内在化を開始し、ウイルスがマクロファージおよび樹状細胞に侵入する可能性がある。scRNA-seq分析により、DC-SIGN・MR・MGLなどのCLRと、COVID-19患者の活動亢進マクロファージおよび樹状細胞における炎症性サイトカインおよびケモカインの共発現が確認された。これは、SARS-CoVに感染したマクロファージおよび樹状細胞におけるサイトカイン産生の変化と一致していたが、生産的なウイルス複製はなかった[116][117]。この結果から、ACE2発現を欠く自然免疫細胞が依然として、それらのCLRを介してウイルスをインターラル化(interalize内在化)できるため、SARS-CoV-2が宿主内の肺外組織にどのように広がるかについての可能性を説明でき[118][119][120]、また、ウイルスの捕獲と感染の広がりを増強するメカニズムについても説明できる。
特に、DC-SIGNとL-SIGNは、HIV-140で示された「trans」「cell to cell」ウイルス感染を促進する可能性がある[114][115]。


まとめ

COVID-19感染症の抑制において、ワクチン効果が充分に浸透していない状況下、もしくは効果が乏しい変異株の出現状況下においては、診断検査をスルーさせないことが不可避である。これには病原体検出だけではなく、ホストの発現情報との併用が望ましい。SARS-CoV-2は、Sタンパク質およびMタンパク質に高密度な糖タンパク質を有している。これらは、感染経路の複雑性の要因を成している可能性がある。通常、SARS-CoV-2のSタンパク質が宿主細胞のACE2と結合して宿主細胞への侵入を仲介する。しかし、実際にはACE2を欠く肺内および肺外の免疫細胞と非免疫細胞におけるウイルス感受性が報告されており、Sタンパク質が宿主細胞への侵入(感染)に追加の受容体を利用する可能性が推察される。Sタンパク質とCLR・TLR・NRP1・GRP78などの自然免疫系との相合作用が実証される可能性は高い。また、特異性と強結合を示す糖を構成成分とする糖タンパク質は、受容体依存性の内在化促進と免疫学的炎症の勃発など、ACE2とは無関係なSARS-CoV-2の全身的拡散を助長している可能性がある。また、SARS-CoV-2では、抗ウイルス免疫およびウイルスクリアランスの増強を担うTLR・CLR・その他(エズリンやDPP4)の受容体を標的とすることにより感染防御の減衰が想定される。さらに、SARS-CoV-2の感染にともない生成したnsp成分による初期免疫を担うIFNの発現抑制機構およびIFNへの自己免疫発症の可能性など、幾重にもの侵入、伝播機構を持つSARS-CoV-2は、したたかな手強いウイルスと言える。
今も、COVID-19の多様な感染機構と治療・診断検査に関する研究成果は、日々、枚挙の暇なく発表されている。一刻も早く治療薬の開発と病態および感染機構の分子論的解明が達成され、平静さを取り戻せることを念じて筆を置く。
読み辛い中を最後までお読みいただきありがとうございました。また、知識が浅いために多くの資料や論文を参照させて頂きましたが、紹介は紙面の都合上割愛させて頂きましたことをお詫び致します。


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