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検査室支援情報

検査の樹 -復習から明日の芽を-菅原 和行(菅原バイオテク教育研究所)

15. チャレンジ! 近い将来はこんな検査をしているかも?

Ⅲ.急がれる、突然死:救済への導線をつなぐ??

「それまでは、普通に元気でした。それが突然…。」著名人だけでなく、近年は身近な方の突然死を経験する機会も増したように思える。突然死によって残された家族や親しかった人々は突然の悲しみに戸惑い、なかなか現実を受け入れられない。その間にも、無情に時間は過ぎ去り、落ち着きを取り戻した頃には現実となった悲しみの深い穴に陥ってしまう。本稿では何の予兆もなく襲いかかる突然死に対して、イベント発生まで病変の進行を検知できないのか。遺伝要因を含めたリスクファクターの精査や臨床検査体系の拡充による生涯を通した健康管理の必要性について、その主要な病因の中核をなすアテローム性動脈硬化を中心に、変性リポタンパク質の概論を総括した。


冒頭に述べたように、突然死は元気な方を突然に病魔が襲う。元気であるがゆえに(潜病状態)医療機関とは疎遠の方が多い。このような方々を受診に導く手段をまず確立することが、第一義である。次に、理学検査所見や脂質プロファイル、一部サイトカインなどを含む慢性炎症の病態を解析し、総合的病態評価を患者に伝え、さらに今後の予測について説明し、協調していただくことが重要と思われる。このためには、臨床検査としての変性リポタンパク質群を含めた脂質プロファイル検査の樹立と、慢性炎症を主体とする新規検査体系の導入および理科学画像検査を併合した診断評価の構築が待望される。

1:突然死とは

突然死(sudden death)とは、症状出現から24時間以内に死亡に至ることである。その原因は、虚血性心疾患、心室性不整脈、大動脈瘤解離、脳血管障害、てんかん重積発作、喘息重積などや原因不明の突然死も含め全体の6割以上を心臓病が占める。他の脳血管障害、消化器疾患などを含めると、突然死の大部分は循環器系のトラブルで、直接的には大動脈の病変に起因している。すなわち、動脈血栓症と血管障害(狭窄・裂傷・破裂など)および心臓病変と言える。WHOの疾患分類(ICD-10、2003年度版)ではR95、R96が狭義の突然死に相当する。


本稿では、動脈硬化性心血管疾患(Atherosclerotic Cardiovascular Disease:ASCVD)を中心に発症予知への検査体系構築の観点から発症機構、病態および脂質代謝の概論を集約した。病因などの内容に関しては、筆者の情報調査不備や、門外漢な病状などの推論に関しての見識が希薄なため、文献をご参照いただきたい。また、専門的見識の高い引用文については『』で示し、文末に参考文献を記載した。

動脈は、心臓から心筋を含めた体全域に血液を運ぶ重要な血管である。通常、動脈血管は内膜、中膜、外膜と3層で構成される。内腔は単層の内皮細胞とその下にある少量の結合組織からなる。その周囲の中膜は平滑筋と弾性線維からなり、外側の外膜は結合組織からなる。突然生じた血栓により血流がブロックされると、下流の組織は血液が供給されずに虚血状態に陥り、特有の深刻な身体的障害を起こす。病状の深刻度は、発症部位、血栓の大きさや血管の柔軟性、狭窄状態などにより変わる。しかし厄介なことに、血栓障害が発生した体組織は、血流がブロックされるまでは特徴とする深刻な症状や激痛的自覚症状を発症しない。

血栓に起因する病名はブロックされた組織ごとに異なり、心臓に生じた場合は虚血性心疾患、脳に発生した場合は脳梗塞と呼ばれる。虚血性心疾患とは、血液が心臓に供給されずに起きる疾患の総称であり発症頻度は高い。狭義には狭心症や心筋梗塞など、心臓の冠状動脈の硬化性病変に起因する狭窄や閉塞によるものを指し、広義には致死性の不整脈や心肥大などを含めた心筋に虚血を起こす疾患を指す。

2:サイレントな潜病状態

突然死とは病因・病態ではなく、その大半は心臓や循環器系に病因がある状態での大動脈イベントや、血栓・塞栓などに起因した病変死である。死に至るイベントが突然襲い掛かるため予兆もなく発生するように思われがちであるが、アテローム性動脈硬化や動脈瘤などを主体とするサイレントな潜病状態、すなわち動脈の内壁に沿った脂質と炎症細胞との蓄積を特徴とする慢性炎症性疾患を伴った、心血管疾患を根本的な原因とすることが多い。当然、イベント発生時には血管壁の弾性も劣化している。病変の進行度合に差異はあるが、動脈壁や心臓は若年期から壮健期の長い年月の間に、基底に潜む病魔と葛藤し、疲弊しながら徐々に病状は悪化へと進展していたのである。さらにストレス、飲酒、偏食、過食、喫煙、高血圧、高血糖、高脂血症などの病態負荷の加担により、脆弱な劣化はさらにすすむ。アテローム性動脈硬化は、動脈壁の神経に支配されていない部分である内膜に無症候性に病変が進行していく。このため結果として予期せず、突然に動脈イベントが発生するまで外見上は壮健に見え、本人も健康上の異変を感じないことが多く、自ら循環器科を選択して受診することは少ない。受診歴は職場での健康診断くらいかもしれない。第一の課題は、大動脈イベント発症前に循環器科専門医を受診していただく導線をどう切り開くかである。第二の課題は、非侵襲的かつ負担を伴わず的確に病態を評価できる脂質プロファイル検査を含めた診断検査の体系化を樹立することである。これは被験者の病態ステージの評価と同時に、経年的に長期追跡できることが望ましい。

3:アテローム性動脈硬化症

虚血性心疾患などを引き起こす主要な原因である動脈硬化症は、動脈の柔軟性が失われた状態で、心臓の高い駆出力を十分に吸収できずに高血圧などの原因によりや諸種の血管イベントを発症することとなる。また、動脈硬化により血管内腔が狭まり虚血の原因ともなる1)

動脈硬化症は、動脈壁の肥厚と弾性喪失を生じるいくつかの疾患病態の総称であり、なかでも代表的な形態として、アテローム性動脈硬化がある。アテローム性動脈硬化は、発生期には脂質を多く含んだ泡沫細胞が動脈の内膜層に蓄積した脂肪線条を呈する。その後長い期間を経て、動脈内壁に変性LDL等のコレステロールや中性脂肪等などの脂肪成分、炎症細胞、平滑筋細胞および結合組織基質(コラーゲン、プロテオグリカン、エラスチンのマトリックスで構成、器質化のさまざまな段階の血栓やカルシウム沈着物を含有)で構成されたアテローム性粥状動脈硬化が進展し、粥腫の隆起(プラーク)を形成していく。プラークは血管内で成長し血流不全やプラーク破裂、血栓を生じる。プラークの成長もしくは破綻による血流狭窄や血流の途絶により症状が現われ、被災動脈の部位、その大小により症状はさまざまである。

アテローム性動脈硬化は、冠動脈疾患や脳血管疾患を引き起こすことから動脈硬化症の中で最も重篤な病態とされる。他に非アテローム性動脈硬化症として、細動脈硬化とメンケベルグ型動脈硬化症などがある。アテローム性動脈硬化は冠動脈、頸動脈、脳動脈、大動脈、大動脈分枝、四肢の主要動脈などあらゆる大型・中型動脈に発生しうるが、動脈の特定領域に選択的に発生することが多い。アテローム性動脈硬化の形成・促進段階は、内皮損傷に対する特定のサイトカインを介した炎症反応と考えられている。

血管内の流れる血流には、流れに向かって規則正しく流れる「層流」とさまざまな方向に不規則に流れる「乱流」がある。乱流は不均一な流圧、流速、流路の分岐点、蛇行域などを生じる。動脈の分岐点で生じる乱流は内皮機能障害につながり、内皮での一酸化窒素産生を阻害する。一酸化窒素は強い血管拡張作用や抗炎症作用を示すため、内皮での産生阻害の結果、内皮細胞は接着分子の産生を亢進させ、これに炎症細胞が動員されて結合が促進される。アテローム性動脈硬化の危険因子としては脂質異常症、糖尿病、喫煙、高血圧、酸化ストレス因子、アンジオテンシン II 、全身性感染および炎症などの因子が列挙されるが、正確な機序については不明な点も多い。

4:アテローム性プラーク

実態としては単球およびT細胞の内皮への結合と内皮下への遊走、さらに局所的な血管炎症反応の開始と持続がある。内皮下層の単球はマクロファージに分化する。同様に血中脂質のLDL、VLDLも内皮細胞に結合し内皮下層で酸化する。内皮下層において酸化脂質が取り込まれ、マクロファージが脂質を貪食した泡沫細胞に変化すると、脂肪線条と呼ばれる典型的な初期のアテローム性動脈硬化病変が形成される。これは若年期に形成されるといわれている。以後、マクロファージは炎症性サイトカインを産生し、それを起点として中膜から平滑筋細胞が動員され、さらにマクロファージが誘引され増殖が促進する。このようにさまざまな交絡因子の加担により、平滑筋細胞の増殖促進と密な細胞外基質の産生亢進が起きる。この結果、被膜は結合組織と細胞内外の脂質に取り囲まれた内膜平滑筋細胞から構成され、内皮下層には線維性プラークが形成される。プラーク内では石灰化が生じる。

アテローム性プラークは安定プラークと不安定プラークとに分けられ、安定プラークはプラークの組成(脂質、炎症細胞、平滑筋細胞、結合組織、および血栓の相対比率)、壁応力(被膜の疲労)、コアの大きさと位置、血流との関連におけるプラークの構造など複数の因子に依存する。退縮もしくは変化なく数十年をかけてゆっくりと成長して動脈の狭窄や閉塞を起こす。しかし、プラーク内出血が生じた場合に不安定プラークへと変わることがある。不安定プラークはマクロファージが豊富で、厚い脂質コアと薄い線維性被膜が特徴である。びらん、亀裂、破綻に対し脆弱であり、成長過程でも急性の血栓症、閉塞および梗塞をもたらす。臨床事変の大半は不安定プラークに惹起されるため、予期せぬ危険な爆弾を抱え込んだ状態とも言える。プラークの安定化は臨床上、重要課題である。

この線維性皮膜は、コラーゲンの沈着と分解による相対的なバランスの上で破綻への抵抗性と強度を保持している。プラークの破綻は、活性化したマクロファージが産生する酵素メタロプロテアーゼ、カテプシン、およびコラゲナーゼが線維性被膜を消化し、菲薄化することで引き起こされる。さらにプラーク内のT細胞はサイトカインを分泌し破綻を助長する。破綻したプラークは循環血中に露出し血栓形成の引き金となり、さらにいくつかの機序を重ねて血栓形成を促進する2)

冠動脈でのプラーク破綻の臨床的な帰結は、プラークの解剖学的構造や組成だけでなく、血液中の凝固促進活性と抗凝固活性との相対的なバランス、および不整脈に対する心筋の脆弱性にも依存する。またアテローム性動脈硬化と感染との関連性も認められている。特に肺炎クラミジア、サイトメガロウイルス感染では血清学的所見と冠動脈疾患(CAD)との関連が示されている。

血栓の発生機序は、アテロームの破裂に起因するアテローム血栓症が主因であるが、それだけではない。アテローム性動脈硬化以外の血栓の発生機序としては、心原性塞栓の主因とされる心房細動がある。これは心房細動による心房内のうっ血により血栓形成が起きる。他には心臓弁置換、心臓発作(心筋梗塞など)、長時間の不活動、血液凝固能の遺伝的または疾患関連の欠陥などが挙げられる。

虚血性心疾患を勃発する三大危険因子は、高血圧、糖尿病、高脂血症(総コレステロールや中性脂肪の高値)で、これに喫煙、肥満、偏った食事、家族歴、運動不足、情動ストレス、坐位時間の長い生活習慣などがリスクを高めるとされている3)4)5)6)

5:アテローム性動脈硬化症とリポタンパク質

アテローム性動脈硬化の動脈内細胞に蓄積する脂質の供給源である低密度リポタンパク質(LDL)は、ヒトの血流を循環する血漿リポタンパク質である。リポタンパク質は、血漿に不溶のトリグリセリド(TG)などの脂質分子が血漿中で分離しないように、両親媒性のアポリポタンパク質によって覆うように構築されている。リポタンパク質は脂質とアポリポタンパク質とが複合体を形成した球状形態を成し、血漿中を循環する。疎水性の高いTGやエステル型コレステロールをコアとし、親水性部分を持つアポリポタンパク質やリン脂質、遊離型コレステロールが表面を覆っているリポタンパク質はカイロミクロン、VLDL、IDL、LDL、HDLに分類され、それぞれの脂質構成、構成アポリポタンパク質、粒子サイズ、比重は異なる。各クラスに分類されたリポタンパク質は、独自の生理機能を持つ7)

1 血漿リポタンパク質

カイロミクロン(chylomicron):
0.94g/mL未満のリポタンパク質で、直径は180-500 nm程度。カイロミクロンは約1:10の割合でコレステロールとトリアシルグリセロール(Triglyceride)を含む。腸管から吸収された脂質は腸管粘膜でリポタンパク質に再構成され、リンパ管を通り肝臓に運ばれる。その役割をカイロミクロンが果たす。構成アポリポタンパク質はapoB48などである。

VLDL(very low density lipoprotein):
1.006g/mL未満のリポタンパク質。肝臓で生成され血中に放出される。約1:5の割合でコレステロールとトリアシルグリセロールを含み、末梢組織にトリアシルグリセロールを供給する。構成アポリポタンパク質はアポリポプロテインB-100(apo B-100)、アポリポプロテインC-II(apo C-II)、アポリポプロテインE(apo E)である。

IDL(intermediate-density lipoprotein):
1.006-1.019 g/mLのリポタンパク質。リポプロテインリパーゼ(LPL)によりVLDLやカイロミクロンが加水分解されトリアシルグリセロールを失う過程のリポタンパク質で、レムナントとも呼ばれる。PAG*法電気泳動ではmidbandとして測定可能である。また、抗apoAI抗体と抗apoB-100抗体を使ったRLP-C*測定キットでレムナントの多寡が定量的に評価できる。apo B48定量による評価も検討されている。
* PAG: Polyacrylamide Gel、RLP-C:remnant like particles-cholesterol

LDL(low density lipoprotein):
1.019-1.063 g/mLのリポタンパク質で、直径は22 nm程度。リポタンパク質中コレステロール含有量が最も多く、末梢組織にコレステロールを供給する。最新のACC/AHA*ガイドラインではLDLの目標値を設定するエビデンスはないとされている。apo B-100やapo Eを認識するLDL受容体を介して主に肝臓で異化される。LDLが酸化・変性・糖化することによりLDL受容体への親和性を失う(酸化LDL)。その場合、スカベンジャー受容体などを経てマクロファージに取り込まれ、マクロファージの機能を変化させ動脈硬化症を発症すると考えられている。

最近ではスモールデンス(sd-LDL)と呼ばれるLDL受容体への親和性を失い、小粒子ゆえに血管壁に浸透しやすい種類のLDLが虚血性心疾患に関与していることがわかった。粒子径は25.5nm以下で、比重で分画した場合1.040-1.063のLDLに相当する。
* ACC:American College of Cardiology AHA:American Heart Association

HDL(high density lipoprotein):
1.063-1.21g/mLのリポタンパク質。血管内皮など末梢組織に蓄積したコレステロールを肝臓に運ぶ働きがある。結果、動脈硬化を抑える働きをする。現在では、LDLは肝臓から他の臓器にコレステロールを運び、HDLは逆に他の臓器から肝臓にコレステロールを運ぶというように、単に役割が違うだけと考えられている。HDLを構成するアポリポタンパク質はアポリポプロテインA-I(apo A-I)やアポリポプロテインA-II(apo A-II)などがある。HDL中の遊離コレステロールはレシチン・コレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)によりエステル化され、コレステロールエステル(CE)となる。このコレステロールエステルは、コレステリルエステル転送タンパク(CETP)により、VLDLやLDLに含まれる中性脂肪と交換される。
(ウィキペディア(Wikipedia)「リポタンパク質」より引用)

2 アテローム生成性・促進作用と変性LDL

LDLは、コレステロールなどの脂肪分子をLDL受容体を介し全身の細胞に送達する重要な役目を担い、最終的には肝臓のLDL受容体に取り込まれ異化される。しかし、いくつかの交絡因子が重なり、LDLが酵素的、非酵素的に諸種の生物化学的変性を受けると、ネイティブLDL本来の作用ではないプロアテローム生成性・促進作用を持つ変性LDLへと異質化する。アレクサンドル・N・オレホフ(Alexander N. Orekhov)らはLDL誘導泡沫細胞形成の炎症誘発性応答における食作用の役割について、トランスクリプトーム分析を用いた成績の要約を図1に示した8)



LDL誘導泡沫細胞形成における炎症誘発性応答における食作用の役割(トランスクリプトーム分析)

Int. J. Mol. Sci. 2020, vol.21, no.3, 817. Graphical abstractを改変

図1 LDL誘導泡沫細胞形成における炎症誘発性応答における食作用の役割(トランスクリプトーム分析)



異質化LDLはLDL受容体に結合できないため、マクロファージに蓄積する。動脈壁への取り込み、内皮細胞でのレクチン様oxLDL受容体-1(LMOX-1)の発現を刺激するなど動脈壁細胞への脂質封入体の過剰な蓄積(泡沫細胞形成)を起源としたアテローム性動脈硬化の最も早い顕著な症状を呈する。In vivoで生じるLDLの最も重要かつ初期の変性は脱シアリル化であることが示唆された。
主なLDLの変性としては、(a)酸化:酸化生成物誘導のネイティブLDL酸化およびapoBアミノ酸の変性 (b)グリコシル化:高度なグリコシル化最終産物(AGE)によるLDLおよびapoBの変性 (c)カルバミル化:タンパク質のNH2基に結合する尿素からのシアン酸塩(カルバミル化を誘導する)自然解離により生成が挙げられる9)
結果として酸化LDL(oxLDL)、マロンジアルデヒドLDL(MDA-LDL)、糖化LDL(glycated LDL)、カルバミル化LDL(Carbamylated LDL)および脱シアリル化LDL(desialylated LDL)などの変性LDLが生成される。

3 変性LDL

LDLの変性体は、アテローム発生性実験を目的に作成されたものと、動脈硬化組織由来の自然発生したものとがある。LDLの変性体には、物理的変性と化学的変性とが交錯するためいくつもの変性体を包括したものもある。また、実験では発症機構の解明を目的に実験的に作成するため、自然発生体からは分離できていない変性体もある10)11)12)13)
LDLは1.019-1.063g/mLの比重域を持つリポタンパク質の集合体であり、異なる粒子サイズの亜分画が存在する。小粒子LDLは、動脈壁の内皮細胞に侵入しやすくなると考えられ、アテローム性動脈硬化の進行と動脈内腔の閉塞に関連するとされている。特に、変性過程のなかで生じる粒子サイズが平均直径25.5nm以下で、比重の重い亜分画は小粒子高密度LDL(small,dense LDL(sd LDL))として注視されている。sdLDLを主体とするパターンでは、正常のLDLパターンと比較し冠動脈疾患(CHD)の発症頻度が3倍高いとの報告もある。


またLDLは、粒子の小型化だけではなく諸種の生物化学的変性を受け、酸化LDL : Oxidized LDL14)、電機陰性LDL:Electronegative LDL15)、低密度LDL:small dense LDL16)、脱シアル酸LDL:desialylated LDL17)、糖化LDL:glycated LDL18)、カルバミル化LDL:carbamyl-LDL19)、マロンジアルデハイド(MDA)LDL:malondialdehide LDL(MDA-LDL)20)、複数変性LDL(mmLDL):multiple modified LDL(mmLDL)21)、ミエロペルオキシダーゼ変性LDL:myeloperoxidase modified LDL(MoxLDL)22)などが挙げられる。各変性LDLは、独自の自己抗体を生み循環複合体の形態をなし、アテローム性動脈硬化を促進する。また変性LDLに対する自己抗体もアテローム生成性が示される。さらに循環変性LDLは強いアテローム作用の可能性が高い免疫複合体と関連している。変性LDLは脂質の細胞内蓄積を誘導する強力な作用が示されており、今日ではLDL含有免疫複合体を含む各変性LDLもしくは複数変性LDLを組合わせた分子特性が予後/診断バイオマーカーとして注目されている11)


図2にアテローム発生に関係する多重変性低密度リポタンパク質の発生機序順に示した。



アテローム発生に関係する多重変性低密度リポタンパク質(mmLDL)

引用:Int J Mol Sci. 2019 Jul, vol.20, no.14, 3561.

図2 アテローム発生に関係する多重変性低密度リポタンパク質(mmLDL)



LDLは酸化・変性・糖化することによってLDL受容体への親和性を失う。その場合、スカベンジャー受容体などを経てマクロファージに取り込まれ、マクロファージの機能を変化させることにより動脈硬化症を発症すると考えられている。


LDLの変性、特に酸化は、マクロファージと内皮細胞のスカベンジャー受容体(SR)を介したアテローム発生の誘導を媒介する可能性がある23)。In vitro変性LDL(アセチル化、マロンジアルデヒドへの暴露、遷移金属イオンによる酸化など)は、培養細胞で脂質の蓄積を引き起こすアテローム生成性を示す。アテローム性動脈硬化症患者の循環血液中から採取したLDLはアテローム生成性を示すが、健康なドナーから採取したLDLは示さなかった。また、アテローム性LDLは脱シアル化されていて、ヒトLDLの脱シアル化サブフラクションのみがアテローム生成性であったと述べられている24)。このように諸種の変性LDLが存在し、どの変性LDLがアテローム性動脈硬化症の誘発に大きく関与するのか、さらにはその発症機構に興味が持たれる25)

4 脱シアル化LDL

アテローム性動脈硬化では、動脈壁への脂質蓄積はその発生期の重要なイベントとなる。
アテローム生成性動脈硬化症の患者の血漿では、ネイティブLDLだけでなく、LDL粒子は複数の酵素的、非酵素的作用を受け、アテローム性生成を助長する変性LDLが生じる。なかでも脱シアリル化は修飾カスケードの初期の主要で最も重要なアテローム性LDL変性である。酵素トランスシアリダーゼ作用を受け、脱アシル化したLDLはアテローム性を高めると同時に他の変性カスケードの重複が続く26)

シアル酸は、図3に示したようにアポリポタンパク質B(apoB)の二分岐糖鎖とガングリオシドの炭水化物鎖の末端炭水化物を表すネイティブLDLの重要な要素である。



apoB-100の炭水化物鎖

引用:Vessel Plus 2017, vol.1, 107-115. Figure 1.

図3 apoB-100の炭水化物鎖



この炭水化物鎖のシアル酸が脱シアル化酵素の作用を受け水解離脱により脱シアリル化すると、次の炭水化物鎖の単糖残基であるガラクトースは、炭水化物鎖末端となり外部に露出する。この機構を用い、Tertov V.V.(1990)らは、末端ガラクトースに対して高い親和性を示すヒマの凝集素Ricinus communis (RCA120)により、総LDLから脱シアル化LDL画分を単離した27)。この方法により、総LDLの脱シアル化LDL画分とシアル化LDL画分の区別が可能となった。

5 スカベンジャー受容体

スカベンジャー受容体は変性リポタンパク質の受容体で、コレステロールやリポタンパク質代謝に関わり、変性リポタンパク質を結合して細胞に内在化する機能を持っている。マクロファージのスカベンジャー受容体は、変性LDLに結合できる共通部分を保有している。慢性高脂肪血症では、リポタンパク質LDLは血管の内膜に凝集し、マクロファージもしくは内皮細胞から生成された酸素フリーラジカルにより酸化され、酸化LDLはマクロファージ細胞表面のスカベンジャー受容体SR-A(CD204)とCD36*を主に介し、細胞内に取り込む。SR-Aは炎症抑制性に働き、CD36は炎症促進性に作用する。この機能が動脈硬化病巣形成に深く関与している。CD36のアミノ酸160-168番は、酸化ホスファチジル・コリンの結合ドメインである。酸化ホスファチジル・コリン結合部位を模倣したペプチドは、酸化LDLによる泡沫細胞形成や血小板活性化を抑制することが報告されている。CD36は分子量 88kDaの高度にグリコシル化された膜貫通型タンパク質でスカベンジャー受容体クラスBに属する。

*CD36:cluster of differentiation 36
別名: platelet glycoprotein 4、 fatty acid translocase (FAT)


アセチルLDLや糖化LDLなどを取り込む8種のスカベンジャー受容体が確認されている。スカベンジャー受容体は、LDL受容体とは別の受容体で変性LDL以外にも種々の物質をリガンドとして認識するため、生体内における機能も多彩である。酸化LDLはマクロファージや他の貪食細胞に蓄積し、脂肪蓄積マクロファージである泡沫細胞になる。泡沫細胞は、LDLコレステロールを多く取り込み、動脈内膜内でアテロームのプラークの脂肪線条を形成する。高脂肪血状態、特に高LDL血症では泡沫細胞の形成が促進され、粥状形成が進行する。泡沫細胞は、コレステロールを血管から除去しようとするが、コレステロールの処理機構を持たないため処理できずにアテローム性動脈硬化症の発生を招く。さらに発生箇所にはマクロファージが集積し、泡沫細胞が蓄積されて壊死性のアテローム性動脈硬化症の基盤が形成されると塞栓症を引き起こす可能性がある。


レクチン様酸化LDL受容体-1(Lectin-like oxidized low-density lipoprotein receptor-1, LOX-1)は、およそ50kDaの表面タンパク質で、スカベンジャー受容体クラス Eに属する。スカベンジャー受容体クラスA(SR-A)は、77kDaの3量体タンパク質である。受容体のいくつかは複数のリガンドを持ち、残りの受容体はパターン認識能力を持つ。受容体とリガンドの相互作用は情報伝達系を介してマクロファージの活性化、脂質代謝、そして炎症経路を制御する。その結果、プラークの進展や安定化に影響する。
スカベンジャー受容体クラスBは、特に動脈硬化症、血栓症、心血管疾患の合併症との関わりが深く、スカベンジャー受容体は、ホメオスタシス、アポトーシス、炎症性疾患、病原体クリアランスなどの幅広いプロセスに関与していることが知られている28)

6 LDL含有免疫複合体

LDL粒子は、複数の酵素的および非酵素的変性を受け、脱シアリル化、粒子サイズと密度の変化、酸化を含む負電荷の獲得、血流中の複数のアテローム発生性、免疫原性を誘導する変性を受けることがわかってきた。変性LDLの免疫原性は、特定のタイプの変性LDLに特異的に自己抗体の誘導をもたらす。抗体は、循環する免疫複合体を形成し、変性LDLと反応する。変性LDLは、自然免疫の活性化を介して血管炎症を誘発する。変性した粒子は結合しやすく、アテローム性動脈硬化症患者の血液から分離され、アテローム生成性の高い大きな循環免疫複合体を形成する免疫応答を誘発する可能性がある29)


循環免疫複合体は、アテローム性動脈硬化の炎症に影響を及ぼす顕著な免疫調節特性を示す。実際、細胞内の脂質蓄積の原因となるのはLDLの会合のみであり、非会合の変性LDL粒子ではないことがわかってきた30)31)。自由に循環する変性LDLと比較して、免疫複合体に関連する変性LDLには、より強固なアテローム生成および炎症誘発性の可能性がある32)。 免疫複合体のさまざまな脂質成分は、診断だけでなく、アテローム性動脈硬化の心血管イベントの重要な予測マーカーとしても機能する。蓄積された証拠は、LDL含有免疫複合体が1型糖尿病の大血管疾患のバイオマーカーとしても機能することが示された33)

7 Lipoprotein (a)

1963年、Kåre Bergによって発見・報告されたLipoprotein(a)(Lp(a) 別名“Lp little a”)は、リポタンパク質の中で異質かつ複雑多形な粒子である。その後、多くの研究者によりLp(a)の構造と生化学的側面からの研究成果が報告されてきたが、いまだ生理学的および病理学的役割はよくわかっていない34)35)36)37)

Lp(a)は、 apo(a)と呼ばれるタンパク質を含むLDL変異体で、LDL様粒子の外殻に存在するapoB-100と、大きくて多形なapo(a)とが単一のジスルフィドブリッジを介した共有結合している。apoBとapo(a)はLp(a)に1:1のモル比で存在し、apo(a)は還元的開裂によってLDL様部分から分離できる。apo(a)は、ユニークな親水性の多形性糖タンパク質で炭水化物に富む構造を持っている。apo(a)は、図4-Aに示したようにプラスミノーゲンと同様の強力なリジン結合ドメインを持ち、損傷した内皮細胞および露出または損傷した内皮細胞外マトリックスタンパク質に結合する。

Lp(a)は脂質代謝プロセス、炎症反応、および凝固プロセスに関与している可能性があり、その表面には、これらに関係する33のタンパク質の存在が示されている。38)
Lp(a)の病原性のメカニズムとしては、酸化リン脂質のLp(a)への結合により39)、Lp(a)分子と共局在する酸化リン脂質が、一緒に血管系の内皮機能障害、炎症および石灰化を促進する可能性が示唆されている。その結果として、細胞膜成長にコレステロールを送達し、アテローム発生性の増加に寄与することとなる。

1) ASCVDのバイオマーカーとしてのLp(a)

血液中の高レベルLp(a)は、遺伝学および疫学的研究により、冠動脈性心疾患(CHD)、心血管疾患(CVD)、アテローム性動脈硬化症、血栓症および脳卒中など関連疾患におけるリスクのバイオマーカーとして、さらには治療目標として、高い関心を集めている。しかし、アテローム性動脈硬化性血管疾患を引き起こすLp(a)の関与機構はまだ充分な解明には至っていない40)
現在、Lp(a)は、アテローム性動脈硬化の独立した強力な予測因子と考えられている。apo(a)はプラスミノーゲン(PLG)と非常に類似したドメインを含む。


Lp(a)血漿濃度は、成人個体間では、2mg/L未満から2500mg/Lの範囲を示し、血漿濃度は、病態だけでなくアイソフォームの差異などの遺伝的要因に伴うレベルの高低が病態評価を複雑化し、課題を残している。apo(a)は肝臓で合成され、Lp(a)のアセンブリは肝細胞膜表面で発生すると考えられているが、ヒト肝細胞の細胞内アセンブリも提案されている。循環中のLp(a)の半減期は約3~4日とされている41)。Lp(a)レベルは炎症性状態、腎不全などの限定疾患以外では、食事、運動、その他の環境要因等の影響は受けにくく、ライフスタイルに関係なく個人の生涯を通じて安定している。apo(a)は、ヒト染色体6q 26-27に座位するLPA遺伝子に制御され、個々のLp(a)レベルは、常染色体の優性遺伝パターンで80~90%遺伝的に決定され、1~2歳までに完全に発現し、5歳位までにはほぼ成人値レベルに達するといわれている。アフリカ人はヨーロッパ人やアジア人よりも、Lp(a)血漿濃度が平均して2~ 3倍高い。アフリカ系アメリカ人は最も高く、白人は最も低い傾向がある。

2) Lp(a)の構造

Lp(a)は、LDLとタンパク質および脂質組成が非常に類似したリポタンパク質様粒子で構成されている。その表面には主にリン脂質と非エステル化コレステロールが、コア部にはコレステリルエステルとトリグリセリドが存在している。脂質コアの周りに親水性apoB-100コンポーネントがある42)。LDLとLp(a)は物理的に類似しており、両方のリポタンパク質はその構造上から区別するのは困難である43)
しかし、Lp(a)は親水性の高いグリコシル化されたapo(a)部分(Lp(a)のプラスミノーゲン類似の病原性成分)を保持するためLDLと区別できる44)。また、apo(a)はプラスミノーゲン遺伝子スーパーファミリーの一部であり、その存在は規定されたサイズの不均一性とともにLp(a)独特の合成および異化特性を持つ。Lp(a)はLDLおよびプラスミノーゲン双方とに相同性を有する構造構成により両者の機構が関連するアテローム性動脈硬化のメカニズム理論への合理性が強く裏付けられる45)46)

このような観点から、apo(a)コンポーネントを含む、Lp(a)は冠動脈心疾患(CHD)に対し、LDLよりも強い遺伝的危険因子と考えられている。 Lp(a)はLDLの有害なアテローム発生特性の全てのユニットを保有するとともに、血管壁の内膜下層へ侵入する際に酸化機構を組み込み、極めて前炎症性の酸化Lp(a)[OxLp(a)]を生成する47)

3) Lp(a)アイソフォーム

LP(a)は、LDL様粒子の apoB-100と共有結合したapo(a)独特のループ様構造特性を持つクリングルIV(KIV)および KVPLGの不活性プロテアーゼドメインによって構成される。
『クリングルドメインは、トリプルループ構造であり、これらのループ様構造は、PLG、プロトロンビン、ウロキナーゼ、組織型PLG活性化因子などの他の凝固因子にも存在する。Lp(a)粒子の明確な特徴である apo(a)は、固定化されたフィブロネクチンに結合し、Lp(a)にセリン-プロテイナーゼ型のタンパク質分解活性を付与する。(図4-A)PLGとは異なり、apo(a)にはK4の10のサブタイプ(KIV1からKIV10)が含まれている。 KIV1とKIV3からKIV10は単一コピー、KIV2には繰り返しコピーがある。各KIVリピートには、3つの内部ジスルフィド結合、1つのN結合、および6つの潜在的なO結合グリコシル化部位が含まれている48)49)』。apo(a)のクリングルは重要な機能を持つ、例えば、KIV10はLp(a)の重要なリジン結合特性を、KIV (6-7)は泡沫細胞上のスカベンジャー受容体と相互作用し重要な病理生物学的役割を果たす50)


異なるLp(a)アイソフォームサイズ間の比較を図4-B(18KIV2 repeatsと4KIV2repeatsを例示)に示した。



Lp(a)構造と異なるLp(a)アイソフォームサイズ間の比較

引用:J Lipids. 2020, 2020, 3491764. Published online 2020 Feb 1.

図4 Lp(a)構造と異なるLp(a)アイソフォームサイズ間の比較



『これらの2つの図では、4(右)および18(左)のKIV 2リピートのapo(a)分子が示され、合計13および27のKIVリピートを表している。これまでに報告されている最大のapo(a)アイソフォームには、52~54のKIVリピートがある。このサイズの変動は独特の現象である。個人の最大80%がapo(a)の2つの異なるサイズの対立遺伝子を持ち、それぞれが片方の親から受け継がれている51)。したがって、個人は2つの大きな、2つの小さな、もしくは混合サイズのapo(a)分子を持っている可能性がある。一般に、個人内ではアイソフォームの小さい方がアイソフォームの大きい場合よりも、正味apo(a)の生成と濃度に大きく寄与する。その結果、図5に示したように、apo(a)アイソフォームのサイズは、Lp(a)の密度と血漿濃度に反比例する52)



リポタンパク質(a)の濃度とアイソフォームのサイズとの関連

Cardiovasc Res. 2014 Jul 1, vol.103, no.1, 28–36. からの複製図をJ Clin Med. 2019 Dec, vol.8, no.12, 2073.より引用

図5 リポタンパク質(a)の濃度とアイソフォームのサイズとの関連



この関係は、apo(a)のサイズが小さいと肝臓による分泌が容易なため、Lp(a)濃度が高くなり、結果として心血管リスクが高まる可能性がある。』際、LPA遺伝子は人種に関係なくCADの最も強力な単一遺伝子リスク因子の1つとされている53)

4) Lp(a)血漿濃度と遺伝子変異

apo(a)タンパク質のサイズは、LPA遺伝子の可変数のクリングル IV反復に基づき、サイズ多型(KIV-2 VNTR)によって変わる。遺伝子レベルのサイズ変動は、タンパク質でも発現され、10から50を超えるクリングルIV反復を持つapo(a)タンパク質を生じる(可変クリングルIVは、それぞれ114アミノ酸で構成される)。Lp(a)濃度は、サイズ効果に加えて、LPAプロモーターの変異もapo(a)の産生を減少させる可能性がある。さらに、apo(a)遺伝子の5′コントロール領域の翻訳開始点から約1400bp上流のTTTTAリピートの繰り返し回数と血漿Lp(a)濃度間の個体差も報告されている54)。サイズ効果に加えて、LPAプロモーターの変異はapo(a)の減少につながる可能性がある。また、LPA遺伝子には多型として、rs10455872 A > G 、rs7765803 C > G 、rs6907156 T > C 、rs1321195 G > A 、rs12212507 A > Gおよびrs6919346 C>Tが存在し、高Lp(a)濃度と関連する各マイナー対立遺伝子頻度の濃度は0.087、0.067、0.012.0.06および0.008mg/dLであった。

Cardoso-Saldaña Gらは、LPA遺伝子のrs10455872-G対立遺伝子と高いLp(a)レベルおよび大動脈弁石灰化(AVC)の存在との有意かつ独立した関連を示した55)。小分子apo(a)アイソフォーム(a)〔クリングル‐IV type2 ≦22繰り返し:apo(a)分子量<640kDa対応〕を有しているものは、大分子アイソフォーム〔クリングル-IV type2 >22繰り返し:640kDa対応〕保有例に比べ、冠動脈疾患、脳梗塞のリスクがおよそ2倍に増大と報告された56)。すなわち、小分子apo(a)の方が大分子apo(a)より、心血管イベントの発症頻度が2倍高いことが示された。小分子と大分子では合成分泌の差があり、それにより血中濃度が異なることが判明してきた(小分子Lp(a)の方が血清濃度が高い)57)
さらに、小分子apo(a)には、特有の作用があり、抗酸化作用なども存在することが判明し、小分子apo(a)自体が動脈硬化発症予防効果があるのか議論となるところである。
総Lp(a)血漿濃度とは別に、apo(a)アイソフォームも重要なリスクパラメーターである可能性がある58)59)

6:多因子・多段階慢性炎症(無症候性アテローム性動脈硬化症)

アテローム性動脈硬化性病変に向けて、炎症性サイトカインが分泌され、局所炎症反応を増幅し、血管平滑筋細胞(VSMC)の増殖と初期遊走を刺激する60)61)。プロテアーゼチモーゲンPLGは、内因性または医原性のいずれかで、組織PLG活性化因子(tPA)、PLGおよびフィブリンに関連する3成分の多成分タンパク質によって線溶酵素プラスミンに変換されるプロ酵素のように機能する62)


この他、アテローム性動脈硬化の病変部では、MAPKがアポトーシス、増殖、炎症などの多くの細胞プロセスで重要な役割を行っている。転写因子NF-κBは、免疫、炎症、細胞の生存、分化と増殖、ストレス、低酸素、ストレッチ、虚血に対する細胞応答の調節など、複数のプロセスを制御するため、心血管の健康と疾患とが密接に関連している。アテローム性動脈硬化は、動脈壁内の脂質負荷線維性プラークの進行性の蓄積を特徴とする複雑な多因子および多段階の慢性炎症状態といえる。血管壁の累積的な損傷から生じるこの病状は、アテローム性動脈硬化プラークの破裂とその後の血栓形成に至る。多因子が絡むサイトカインの多段階慢性炎症であるアテローム性動脈硬化は、重篤な病態へと無症候性に進展する。

7:大動脈イベント発症前に不可欠な予知診断

アテローム性動脈硬化性病変に関連する複数の交絡因子はどれが主体を成し、どの位のレベル、どの位の期間において、どの程度の影響を及ぼすのか。また、推奨される加療、食事療法および運動療法などによる改善効果は、等々の疑問への研究はまだ始まったばかりといえる。

突然死に至る大きな大動脈イベントが発生する前に、一部の方は軽微な前兆現象らしき徴候を感知されることもあるといわれる。いくつかの不快な自覚症状を察知し、循環器科を受診された方や従前からの治療により病変進行を抑え得た方は、発症期については不定ながらも事前処置や発症後対応への準備ができるため突然死の回避率は高まる。しかし、潜在性疾患を事前に察知できなかった方々や軽微な一過性の病状通過に安堵し循環器科を受診されなかった方は、突然の発症対応には困難な現実が襲うこともある。従って、突然死を回避するためには、無症候性アテローム性動脈硬化の病変進行を大動脈イベントの発症前に診断にて知り、治療を開始することが必須である。また、この対処は低年齢期に始動する程、高い効果を生む。このためにも、患者が早期かつ適切に循環器診療科を受診するよう促す手立ては最も大切なことである。

『現在、無症候性(前臨床)アテローム性動脈硬化症は診断および治療の対象ではないが、無症候性アテローム性動脈硬化症の背景にある臨床イベントの数は非常に多くなっている63)64)
前臨床アテローム性動脈硬化症のスクリーニングの進歩にもかかわらず65)、前臨床アテローム性動脈硬化症のスクリーニングは、非常にまれに臨床診療で使用される。』
心血管疾患予防における臨床上の課題「心血管疾患予防の最前線:潜在性動脈硬化をとらえる」を簡潔に集約された記事の一部を以下に紹介する。
『たとえば健診や診察で測定した血圧は、その時点での値にすぎません。同じ収縮期血圧160 mmHgの人でも、治療の有無やコントロール状況によって、それまでの高血圧への暴露期間は異なっています。一方で潜在性動脈硬化というのは、高血圧や血清脂質高値への暴露により、血管にどのくらい負荷がかかってきたかという長期的な状態を反映しており、一時点での測定値だけではカバーできないことが考えられます。ですから、心筋梗塞や脳卒中などのイベントが発生してしまう前に、簡便で非侵襲的な検査によって動脈硬化の進展度を評価し、治療の適否や治療を開始するタイミングなどの判断に役立てる——これからはそういう時代になっていくのではないでしょうか66)。』

測定値が長期間にわたってわずかに閾値を超えた場合と、短期間だけ大きく閾値を超えた場合とでは、生体に与える影響の度合いは異なる。しかし、現状では測定した時点における数値の評価が重要視される傾向にある。本来は悪影響を及ぼす成分の、負債としての蓄積量を加味すべきであるが、実際は計測が困難な上に、多くの交絡因子が重積し、数十年単位での時間経過に伴う蓄積物の変質や加齢による組織の老化などが加担し、蓄積量とその質的変化の実態を確定することはさらに困難を極める。今日、心筋梗塞や脳卒中などのイベントの発症を事前に回避された方および病状進行を把握し追跡できた方々は、発症前に受診し、その大部分は理化学機器による画像診断において成果をあげている。これは病態の現状分析と救命処置対応には極めて有益であるが、治癒へ向けた改善提供には情報不足の感もある。現状病態の正確な描写を利点とする画像診断と、病変部位における病状の経年経過と関連細胞の代謝活性度など、分子生物学的な代謝動態とを融合した診断、これに総合的な改善ステップを描ければ理想といえる。このためには医学分野のみならず、他分野の研究者も含めた研究を進め、更に一歩踏み込んだ分析と解析が必要と思われる。

8:予知解析の試行

発症予知には多くの要因が複雑に絡み、個別の主要因子も病態や個々の病状に即し複雑に対応を変え病変を進展させる。この複雑多岐な病変対応には、AIの導入と多岐分野の研究者間との共同研究が必要である。病変解析、生体流体力学解析と生理学的な機能性評価および物性科学などを統合した新規発想から発症の予知はかなえられるのかもしれない。多くの難題が山積しているが、懇願される喫緊の課題である。

通常、多くの診断検査は発症後に重点を置いて考察する傾向にあるが、長い間疫学調査を展開されている久山町研究での例では、高齢期の問題である認知症は若年で血圧が高い人の方がなりやすいことが示されている。糖尿病も若年時の肥満がインスリン代謝異常をきたした結果、40代や50代に達して糖尿病と診断されたときには血管障害もかなり進展しているケースが多いという67)


壮年期は仕事や生活も多忙な時期であり、食事や運動などの生活習慣の乱れを是正しにくい時期でもある。また、若年時の体力的に壮健な時期には、慢性的にジワリと生体内がむしばまれていく現象を感じることは極めて少ない。このようなことを総合的に考えると、図6に示すように、若年時の体力的に壮健な時期を疾患への指標値のベースラインと捉え、生体内微量産物(メタボローム)や遺伝子情報などを加味した生涯追跡検診を施工し、新規に開発されたバイオマーカーなどを加えて長期間に渡りモニターすることにより、本人の自覚の向上と専門的医療への結び付きを高め得るのではないだろうか。保険制度が完備されたたわが国では、健康保険書に付随した生涯を通した自己の臨床情報経過の一元化や多施設間での受診臨床情報の一元化なども、難題は山積するが実現は遠い話ではないかもしれない。



生涯を通した健康管理

図6 生涯を通した健康管理



2013年にAmerican College of Cardiology Foundation(ACCF)は、初診時に40~ 79歳の患者を対象とし、患者情報を入力すると10年間のASCVDリスクを計算して、基準点を低リスク(<5%)、ボーダーラインリスク(5~7.4%)、中程度のリスク(7.5~19.9%)、高リスク(≥20%)の4段階に区分確定する、ASCVD Risk Estimator Plus(“the Product”)を公開した。この2013年のプールされたコホート方程式(PCE)は、心血管疾患(CVD)の予防ガイドラインの中心を成して来たが、CVDリスクを誤って推定する可能性があるとの指摘を受け、2018年に改訂された68)。わが国では、国立循環器病研究センター(大阪府吹田市)の予防医学・疫学情報部の西村邦宏氏らの研究チームが、心筋梗塞など冠動脈疾患の10年間の発症危険度を予測する日本人の実態に即した内容で、かつ正確な予測が可能な新しいリスクスコアを開発・報告した69)
吹田研究は、国立循環器病研究センターが都市部の一般市民における心血管病の動態調査を20年余り継続して行われている70)


LOX-index(NKメディコ株式会社)では、国内の約2,500名を対象として約11年追跡した研究成果をベースとし、酸化変性LDL(LAB)とLABと結合して動脈硬化を進行させるLOX-1という2つの物質を測定し、動脈硬化の原因物質から将来の脳梗塞・心筋梗塞の発症リスクを判定するLOX-index検査を提供している。LOX-indexは、血中のsLOX-1(可溶性LOX-1:血中に放出されたLOX-1)とLABを測定し、LABとLOX-1を掛け合わせた値を指標に、脳梗塞・心筋梗塞発症リスクを4段階で判定するものである。

sd LDL-C(small, dense LDL コレステロール)の測定に関しては、米国臨床化学会(AACC/The American Association for Clinical Chemistry)から測定意義を高く評価され、2019年にデンカ生研株式会社の伊藤康樹氏がZAK賞を受賞した。また、同社は、Lipoprotein(a)測定キットでの、クリングル4タイプ2リピートによるサイズ変動に対応したアッセイキャリブレーターでも高評価を受けている71)

今日では、この他にも、高トリグリセリド血症患者の血漿中LDL(密度1.019-1.063g/ml)とsd-LDL(密度1.044-1.063g/ml)の分画やsmall dense LDL-コレステロール(sd-LDL-C)、マロンジアルデヒド修飾LDL(MDA-LDL)、 可溶型LOX-1(sLOX-1)、 LOX-1結合アポB含有リポ蛋白(LAB)などの個別測定キットなども入手可能である。

9:発症の危険を有する方は、臨床経過の携帯と現在地の認識を

自身が突然死発症の危険が高い病態であると診断を受けても、未処置の場合は突然の発症も想定される。また発症後、速やかに来院できなければ処置ができない。このような病態においては、安静保持が原則ではあるが、大方の例では生活がかかるため仕事の継続は不可避である。また、外出要件も発生する。このため、いつ、どこでで発症するかはわからない。

私の知人の例を紹介すると、この方は竹パウダーを資材とした植物活性化堆肥を扱う会社を経営され仕事熱心でした。73歳のやや痩せ型で背が高く、外見上は壮健な方でしたが、堆肥調製場の事務所での商談中に突然胸痛で倒れられたとのことである。この日の商談には社長が一人で対応されており、商談相手は他県から来ていたため、土地勘がなく、さらに調製場の近くには指標物もなかったため、現地への救急車を要請する場所への伝達が難航し到着が遅れてしまった。ようやく救急車が到着した後も、近隣には大病院がなく、搬送された病院では対応できないとのことで他院への転院を告げられた。離れた次の病院へ到着し「大動脈解離」の診断を受けたときには、発症から数時間が経過し手術不可と告げられ、残念ながら他界された。

このように突然死は、迅速に処置ができる場所や万全な態勢のときに発症することはまれで、突然に激痛や、意識障害に陥るなど初めて体験することが多い。
しかし、突然の発症でも事前の知識や備えがあれば、いざというときに適切な処置が迅速に受けられる可能性は高まる。突然の発症は、外出先での作業中や行楽中(山林、草原、海岸)など、いつどこで起きるか予想できない。発症したときに場所を伝える指標物がない場合は、代わりにスマートフォンのGPS機能、自動販売機の住所表示、道路標識もしくは電柱や防犯灯の番号などが指標化できる72)。また、単独行動を回避する習慣を付けることも大切である。発症後、来院までの時間短縮が救命の勝負となることを念頭においておく。

必要な臨床情報を主治医に依頼してフォーマット化し、誰でもどこでも閲覧できるようなICチップやバーコード、メモなどの形態で、常に持ち歩くことも大切である。
しかし、まずは本人に発症前に来院受診していただき、自身の病態を正しく理解してもらうことであるが、外見上は健康に見え、自身も健康に自信を持つ人は往々にして病院嫌いで「僕は、私は、大丈夫」と根拠なき自信を持つ方が多い。また、受診しても医師から突然死の発症予備軍と診断を受けるとは限らない。さらに、本人がそのことを信じない可能性もある。実際に、前述の方は、診療科の異なる病院を発症の約2週間前に受診し服薬中であった。

現在の医療は発症後の治療に主眼をおいているため、医療従事者、患者ともに発症予知への認識対応は幾分低い傾向が伺える。今後は、膨大な検査データベースの検証による、有効な検査体系の構築や新たな検査データを加えた指標の体系化が不可欠となる。解析技術が進展した今日、不幸にも発症された患者の剖検データや患者試料を分析し、発症を予知できるバイオマーカーの検索などにも取り組み予知向上を目指す必要がある。また、臨床検査室では、蓄積された膨大な保存検査データの解析活用と同時に、患者との協調による発症前の兆候を調査・追跡する医療チームもしくは調査検査室の構築が必要視されているのではないだろうか。


解剖学的検出方法の例には、CTによる冠状動脈のカルシウムスコアリング、超音波による頸動脈IMT(内膜中膜の厚さ)測定、および血管内超音波(IVUS)が含まれる。生理学的測定法の例には、リポタンパク質サブクラス分析、HbA1c、hs-CRP、およびホモシステインが含まれる。解剖学的方法および生理学的方法の双方により、症状が現れる前の早期発見、疾患の病期分類、および疾患の進行の追跡が可能となる。解剖学的手法はより高価であり、IVUSなどの一部は本質的に侵襲的である。一方、生理学的方法は、多くの場合安価で安全である。解剖学的手法においては、病気の現状態を定量化したり、進行を直接追跡はしない。近年は、PETやSPECTなどの核イメージング技術の開発により、アテローム硬化性プラークの重症度を推定する方法も提供されている。

10:Latent disease:潜在性疾患

このように、心血管疾患は長い期間をかけて蓄積されたアテローム性動脈硬化を病変の主体とするが、突然の発症までの自覚症状は乏しい。心疾患発症時の自覚症状は胸痛や胸部の苦しさ、肩から上腕の痛み、嘔吐、下顎痛、歯痛、腹痛や腹部不快感など、胸部以外の箇所でも起きる。これらの症状は、しばらく安静にすると治ることが多い。また、虚血性心疾患から突然死に至る場合は、仕事中や歩行中、通勤中、テレビ観戦中などの平常時や、用便中もしくはその直後、就寝中などに突然意識を失う。短時間で心肺停止に陥った場合は蘇生困難といわれている。上半身に筋肉疲労などの覚えがないのに不自然な痛みや不快感が生じた場合は、軽微でも一時的なものでも一度、循環器専門医を受診する慎重さが健康維持につながるのである。決して「大袈裟」ではない。

11:急な寒暖差には気を付ける

冬に前日より急に強く冷え込んだ翌日は、新聞のお悔やみ欄が増える傾向にある。急性大動脈解離や急性心筋梗塞、脳出血など、血管が原因の病気を急に発症して亡くなられる方が多いという記事も見かける。また、「30年間の月別死亡数から観察した気象の主要死因死亡への影響(日本生気象学会雑誌)」では、12・1・2月期には血管を起因とする死亡者数が多い傾向があると報告されている73)。この原因としては、単なる寒さ・暑さではなく寒暖差疲労による心臓鼓動の促進と、急激な血圧上昇が一因と考えられている。
若く柔軟性の高い血管壁は多少血圧が上昇しても順応できるが、加齢や動脈硬化、もしくは疾患により血管壁が硬化した人の場合は、急な血圧上昇に対応できずに諸種の循環器障害をきたし、時にはそれが致命傷となる。

個々の症例においては、血管の状態、治療経過、服装、生活習慣、体調、住居環境など要因はさまざまであり、発症要因の解析は困難なことが多い。一般論的な見解では、急性心不全を起こす原因として、急性心筋梗塞などの虚血性心疾患が多い。虚血性心疾患は、放散痛や関連痛を発症初期に引き起こすことが多い。この初期症状を捉え得れば処置は比較的、功を奏することが多いといわれるが、ことは簡単ではないということである。まず、この病気は激しい胸痛を訴えることが多いが、病状の始まりが腹痛や胸部の苦悶感、肩から上腕にかけての痛み、悪心・嘔吐、もしくは下顎痛、歯痛の場合すらもある。さらに、場合によっては痛みの持続性がないため受診を先延ばしにしてしまう。また、受診しても初期の診断が難しいなどの課題がある。

12:医療機関受診の勧め

突然死で亡くなった患者の多くは、専門の医療機関を受診していないことが多い。受診者と非受診者との相違点は何か。医療機関を受診するのは何らかの自覚もしくは他覚症状が認められ、患者自身も加療の必要性を納得した場合である。一方、非受診者は軽微な自覚症状もしくは他覚症状が表れていても、大丈夫という過信によって受診を拒むのではないだろうか。当然、発現した症状を重篤、重大と捉えるかは各人の感覚によっても異なり、過去の経験や知識などが大きく左右する。自身の身体内からの些細な警告を「大袈裟」と捉えず、受診の一歩を踏み出してほしい。しかし、「なかなか身近には名医と遭遇しない。」という言葉を聞く。このことは、医療関係者は重く受け止めるべき言葉と思われる。手軽に測定できる適確な検査項目がなく、的確な診断につながらない。せっかく、思い立って受診しても的外れな診断であった、もう二度と……となりかねない。大動脈解離や循環器疾患について、国立循環器病研究センターのホームページで詳細かつ簡易に説明されているので、見識を深めていただきたい74)
循環器系のトラブルが発症した場合は、一刻も早く専門医療機関を受診することが不可欠である。このためには、日頃から地理的に受診可能な医療機関を2,3施設ほど選定しておき、搬送ルートや自身の居場所を伝達する方法を準備するなど、対策を講じておくことも大切である。

 

補足
1 大動脈解離

大動脈解離(AD:Aortic dissection) は、大動脈壁の弱った部分に発生する。内膜、中膜および外膜と3層構造を作っている大動脈の、血管壁最内層の中膜に何らかの機序により損傷が生じて裂け、血液が内膜を貫通して中膜層に入り、大動脈の層が剥がれて解離する疾患である。ほとんどの場合、突然のひき裂かれるような強烈な胸痛、背中に杭が刺さるような激痛を伴うことが多い。解離が進むにつれ痛みが胸から腹、脚などへ移動する場合がある。嘔吐、発汗およびふらつきを伴うこともある。また、解離した場所や偽腔が血流をさえぎることにより、他の臓器への血液供給の低下から生じる脳卒中や腸間膜虚血などがある。ADは、偽腔圧迫による心臓への血流障害、大動脈の破裂もしくは大動脈の膨れ(拡張)により、急速に容体が悪化し、死亡する可能性がある。


ADは、動脈硬化、高血圧、糖尿病、睡眠時無呼吸症候群、Marfan症候群やEhlers Danlos症候群などの血管壁強度に影響を及ぼす多数の結合組織病、二尖大動脈弁および心臓外科手術の病歴を有する患者においてより発症しやすい。特に、慢性的な高血圧は大動脈組織にストレスを与え、裂傷を起こしやすくする。
自動車事故などによる胸部への大外傷、激しい筋力トレーニング、喫煙、コカインやメタンフェタミンといった興奮剤などの違法薬物の使用、妊娠、胸部大動脈瘤、動脈の炎症および異常な脂質レベルもリスクの増加と関連するとされている。ADには前兆がなく、発症予測は極めて困難である。胸や背中に強烈な激痛が突然起きたら、一刻を争い外科処置の可能な医療機関を受診する必要がある。
ADの発症は、夏場に少なく冬場に多い傾向にあり、夜よりも日中の午前中(6~12時くらい)の発症が多いといわれている。この症状は、60代と80代に最も多く発生する。
ADは、大動脈の解離が起きた場所により、タイプAとタイプBの2つのグループに分けるStanford分類と、解離の進展範囲とエントリー(血液の偽腔への流入口となる内膜の亀裂)の位置により、4つに分けるDeBakey分類がある。また、病期によっても分類される。

2 心房細動

心臓は安静時、1分間に男性で60~70程度、女性で65~75程度で規則正しいリズムで、全身に血液を拍出・回収するポンプの働きをしている(洞調律)。このリズムがゆっくりとなったり、早くなったり、不規則になることを不整脈といい、不整脈で高頻度に見られるのが「心房細動」である。心房内に流れる電気信号が余計な刺激により乱れ、心房が痙攣したように1分間に300回以上細かく震え、血液を全身に送り出せなくなる。問題となるのは、このとき心房の中で生じた「血液の固まり(血栓)」が血流によって全身に運ばれ、組織の血管を詰まらせ、脳梗塞や全身性塞栓症などの重い病気を引き起こすことである。
心房細動には、1)短時間だけ症状が起きすぐに回復するタイプ(発作性心房細動)と2)数時間もしくは長時間持続するタイプ(持続性心房細動)とがある。発作性心房細動の場合は、自覚症状がない方や健康診断で見落とす場合がある。


心房細動の状態が続くと、動悸や息切れが激しく、疲れやすくなるなど日常生活に支障が出る。このようなな症状を自覚した場合は、すぐに循環器専門医を受診すべきである。
心房細動は、高齢者、高血圧、飲酒、喫煙者に多く見られる。また、心臓弁膜症・心筋症・虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)などの心臓病、甲状腺機能亢進症、糖尿病、肥満、脂質異常症、生活習慣病、慢性腎臓病なども発症要因とされている。
リスクファクター、生活習慣や病状に心当たりのある方は、早期に専門医を受診することが望ましい。

3 動脈瘤

動脈瘤は破裂が最も危険である。見つかった動脈瘤は生じた部位、形状、血管壁の状態、発生原因などを考慮して処置される。嚢状の動脈瘤は破裂しやすく早期の処置が必要とされている。動脈瘤破裂は、胸部や腹部の大動脈瘤では意識消失、心臓・呼吸停止を伴う重篤例や、動脈解離や血栓塞栓症を起こすこともある。脳動脈瘤破裂では、くも膜下出血や脳内出血の原因となる。突然の脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血、脳動脈瘤破裂を原因とする場合が8~9割で、50~60歳台が最も多い。男性より女性に多い傾向があり、リスクファクターとしては、高血圧、喫煙、飲酒、家族歴などが挙げられ、動脈病変を起因とする。

まとめ

突然死された方は、「自身の健康への過信」や「病院嫌い」な方が多いように見受けられる。また、意を決して来院された場合も、循環器専門医への受診ではなかったことも耳にする。これは、大動脈イベントの前兆と思われる症状は多様かつ軽度なことに起因するのかもしれない。また、受診した医師から「大丈夫ですよ。脂質が少し高めですから食事と運動は気がけてください。」といわれ安心したとの声を聞く。このミスマッチは根本的な盲点かもしれない。LDLコレステロールは正常値範囲内でも、アテローム性動脈硬化症の診断は、リポプテインプロフィルの精査なくしては困難なケースもある75)
アテローム性動脈硬化症を原因とする突然死の危険性は、画像診断により警告できる域に達しつつあるが、イベント発生期の具体的な予知は困難である。また、非アテローム性動脈硬化症における血栓生成や動脈瘤についても画像診断後は速やかな処置がなされる。ただし、この処置も患者が適正な診療科を受診した場合、もしくは受診した医師の判断により紹介を受けてはじめて成就できることである。


現在は、情報発信が豊富なネット社会であり、多くの大動脈イベントに関する情報が発信されている。しかし、発信情報サイトに到達できない、情報サイトへの興味を持たないケースでは「開かない辞書」と同じである。もし仮に辞書を開いても、読者と情報発信者との情報の価値観が一致しているかは疑問なケースもある。また、メディアにもテーマとして取り上げられることがあるが、出演者により偏屈に恐怖心を煽ったり、妙に笑いを誘ったりと本質が伝わっているかは疑問を感じることも多い。
今日では、突然死も貴重な剖検所見や救命者からの声を集大成し、救済への手がかりが徐々に広がりつつある。発症への進行は若年時から、体力的に壮健な時期にすでに始まっている。これまでは「健康だから」と見逃してきた数値も、これを疾患発症のベースラインとして、さらに新規情報や遺伝子情報などを加えながら生涯の追跡検診を施行し、数十年の長いスパンでアテローム性動脈硬化の防止と健康増悪因子とを監視しながら動脈病変を解析し、発症の危険域を指標化し警告できることが望まれる。また、追跡検診を施行できなかった方々においても、リスクファクターを有する方の受診を促す広報や啓発手段を工夫し来院を促す。そして、臨床医、患者および検査担当者との協力のもと、AIを駆使した解析を重ねることで発症予知に一歩でも近づけるかもしれない。同時に、患者の家族や患者本人の詳細な日常の身体・病状の観察記録を一例でも多く積み重ねていただくことは病態への関心を深めるだけでなく貴重な情報源となる。


医療サイドでは、現在、所在が分散している患者本人の臨床情報を、生涯を通したカルテの一元化や、大半が分散している現在の他院情報や受診診療科の一元化などが実現できれば、循環器疾患のみならず予防医学の観点からも、より高い医療効率の活用が望める。
将来的活用を見越した患者血の保管および体組織の分析、遺伝子解析などの統合ファイリングシステムの構築など課題は多い。「大袈裟な」「大丈夫」という言葉をいかに封印できるかも重要な課題となる。
さらには、多くの疾患における増悪因子とされる慢性炎症を、体系的に分析解析する生体指標成分群を高感度に同時分析することも急務である。

循環器系疾患の予防策としては、日頃から患者各人が、血管の柔軟性、血流改善、生体酸化、糖化などの正確な知識を高め、病変進行に対する現在の自分の象限的な立ち位置を認識する。一方、医療従事者は幼少期・成人期の患者データをベースとした病変の推移を簡易かつ、適格に情報発信すると同時に理解しやすい評価法の設定などに努める。両者が切磋琢磨しながら、正確かつ高度な知識構築に努めると同時に、適正な運動や食生活を幼少期より学習できる教育システムの構築が待望される。


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