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検査室支援情報

精度管理の考え方中 恵一

(付録) 回帰分析

回帰直線における回帰係数の検定

・0次母回帰係数の検定

回帰式のy切片、定数項を与えるの推定値をaとして、その最尤値は式(6)で与えられた。
 ・・・(6)
は定数であり、yの関数であるbが正規分布をするので、aも正規分布をするものと考えてよい。その期待値は、
 ・・・(54)
ここで母集団の回帰係数を使うと、

は定数だから、式(54)は次のように書き直すことができる。
 ・・・(55)
このように回帰分析の結果得られる0次回帰係数、aも母回帰係数の不偏推定値となる。
次にその分散を求めてみる。
 ・・・(56)
ここで、分散が次の式で与えられることを考え、

式(56)を書き改めてみると、
 ・・・(57)
式(57)のカッコ内を整理しなおせば、

全体の二乗をとると、

 ・・・(58)
式(58)を、再び分散を示す記号Vを使って書き直せば、
 ・・・(59)

ただし、記号Cov は共分散を示す。その内容は式(58)の第三項について総和を求めたものである。この式においては、標本の平均値と回帰係数bの共分散であり、bが式(24)で示したようにyの関数であるから、その共分散になる。
 ・・・(24)
ただし、

すなわち、

したがって、式(59)は式(60)に書き改められる。
 ・・・(60)

式(60)の第一項は、N個の標本平均に対する分散であるから、定めた標本分散を使って、
 ・・・(61)
また、分散の性質から、定数項を記号から外に出すときは二乗されるので

ここに、すでに求めたbに対する分散、式(31)を使えば、
 ・・・(62)
すなわち式(60)は次のように書くことができる。
 ・・・(63)
ここで、( )内の分子にあるSxxを元の形に戻せば、

結局、回帰係数のうち定数項は、
 ・・・(64)

標本データを利用して、回帰係数aについて、その分散の不偏推定値を求めるなら、標本データの分散をその不偏推定値で置き換えたものとする必要がある。そこで、式(48)を使って、(64)式を書き直せば、
 ・・・(65)
あるいは、
 ・・・(66)

これによって、回帰係数aの標準偏差は次のように求められる。
 ・・・(67)

t分布を示す関数は次の式で与えられる。

すなわち、
 ・・・(68)
あるいは、
 ・・・(69)

回帰係数aが理論値0から著しく離れているかどうかは、t分布表で自由度N-2の値を利用し、式(68)、あるいは(69)で計算される値により判定すればよい。
通常は、0=0となる定数項がない原点を通る回帰直線Y=Xを期待するので式(68)あるいは(69)の0にこれを適応するとよい。左辺は正の値として絶対値を取る。