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検査室支援情報
精度管理の考え方
Q26 Answer
ある臨床検査項目で施設間差の調査を考えています。複数施設(今回は4施設)に同一検体を測定してもらい、結果の比較をします。その際に、サンプル数はどのように決定すれば良いか、統計学的な手法などを教えてください。(栃木県 S様)
複数施設での施設間差を、同一検体を使って実際に見たい、という場合にはすでに標準書がいくつか出ています。参考文献(下記)にその文書をご案内します。
簡単にどう準備するかについて説明しますと、施設間差を見るためには統計的な手法として「多変量解析」を使うことになります。
この理由は、施設内でどれだけのばらつきがあるかを知ることと、その上で施設間にはどれほどの差があるかを知るという必要があるからです。例えば、ある日1回だけの測定をしてもらって、それでばらつきがどれくらいあるかを見るというのでは、たまたま高い値を報告した施設と、たまたま低い値を測定した施設を比較しても統計的な意味が薄くなってしまいます。
したがって、1) 数日間同一試料を4施設で測定してもらって、施設内のばらつきを見る、2) その上で施設間差を見る、という手順です。
現実的なことを考えますと、同一試料をこの多変量解析のために数多く用意するのは厄介です。
したがって、現実的な面から解析のための準備をされるのがよろしいでしょう。
厳密な解析を求められるにはいくつかの標準書をご覧ください。
参考文献
- 1. 臨床検査における測定の不確かさ・ケース別推定法 - JCCLS-
- http://www.jccls.org/active/calculation_soft/0.pdf (日本臨床検査標準協議会ウェブサイト)
- 2. 臨床検査精度管理調査の定量検査評価法と試料に関する日臨技指針
- http://www.jamt.or.jp/news/asset/pdf/01.pdf (日本臨床衛生検査技師会ウェブサイト)
- 3. JIS Z8405: 2008 (ISO 13528: 2005)
試験所間比較による技能試験のための統計的方法 - http://www.jisc.go.jp/app/JPS/JPSO0020.html(JIS検索ページから検索)
- 4. 試験所間比較における同等性評価についての調査研究
- https://www.nmij.jp/public/report/bulletin/BOM/Vol8/1/V8N1P77.pdf (計量標準総合センターウェブサイト)
中 恵一
2016年10月7日