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検査室支援情報
精度管理の考え方
Q&A一覧
お寄せいただいた質問と、それに対する回答をQ&A形式でご紹介します。
ご質問・ご意見は、こちらのページからお寄せください。
- 精度管理の実践を考えている医療従事者向けのコンテンツですので、ご質問は医療従事者のみを対象とさせていただいております。メーカーの方はご遠慮ください。
Xbar管理図を考えます。我々は管理物質を分析した場合に生み出される無数の測定値が構成する母集団より日々いくつかのサンプリング(QC測定)を行い、そのサンプルが示すであろう「T分布」から母平均を推定しておるのだと思います。この時の説明で、恐らくは簡単の為に測定数 n=2として説明される事が良くあるようです。2つのサンプルという事ですのでそれが示すであろう分布は「自由度 df =1のT分布」であり、それは「標準Cauchy分布」に一致するとされています。
T分布 wikipedia:https://ja.wikipedia.org/wiki/T%E5%88%86%E5%B8%83
先生もご存じの通り、Cauchy分布は平均と分散が定義されない分布ですので、この分布を用いて平均値の推定を行うのは『統計モデル』として誤っておるような気がするのです( 実際のQC測定値がCauchy分布に従うと思っておる訳ではありません)。
上記理由により、正しい統計モデルを用いたXbar管理図による統計学的精度管理は測定数 n=3、自由度 df=2のT分布を用いる方法が最小のQC測定回数ではないかな、と考えた次第です。(大阪府 A様)
当施設での内部精度管理の方法について質問です。
コントロール2濃度を1日2回測定、検査システムの-R-Rs管理図を確認して必要な是正処置を行っています。検査システムの管理図は、自動計算もしくは管理SD値で±2SDと±3SDのラインを引くことができるのですが、それとは別に管理限界のラインを引くことができません。そこで管理限界には日本臨床化学会(JSCC)が提唱しているCVAの値を基準にし、5%を超える場合は5%としています。あらかじめコントロールを20日間測定して算出した平均値に対して、求められるCVA値よりSDを算出します。さらに、その1/2SDを管理用のSDとしてシステムに登録すると、管理図に表示される±2SDのラインは、平均値とCVAから算出されたSDに相当します。その表示された±2SDのラインを管理限界と見立て、超過した場合はルールに従い、是正処置を行います。
何か問題点や改善点などありますでしょうか?
ある臨床検査項目で施設間差の調査を考えています。複数施設(今回は4施設)に同一検体を測定してもらい、結果の比較をします。その際に、サンプル数はどのように決定すれば良いか、統計学的な手法などを教えてください。
大変初歩的な事ですが、生化学、血液一般の精度管理で、機械のメーカーからのコントロールを使っているのですが、コントローラーごとについてくる管理範囲の中心値は、精度管理を行う際の中心値として使用することはできるでしょうか。
内部精度管理の管理幅についての質問です。
今年度より別の施設で業務しているのですが、現施設での管理幅が非常に狭く、正直この幅が妥当なのかと疑問さえ思っています。もちろん、その管理幅に含まれるためにメンテナンスを多く行い、管理幅には入っています。試薬LOTの変更に伴いデータが若干変化した場合、1%以下の補正式を入れて管理幅に入るように努めています。
機器にもよるかとは思いますが、どのレベルまでの精密性を保つべきなのでしょうか。
ランダマイズ2回測定法にて血液一般検査の精密度を評価しようと思っているのですが、血液一般検査の個人生理的変動幅を記載している文献が見つかりません。血液一般検査はこの方法では精密さを評価できないのでしょうか。またもし、血液一般検査項目の生理的変動幅をご存知ならば、教えていただけないでしょうか。
トレーサビリティの原点となる国際標準あるいは国家標準について、入手方法などを教えてください。
管理図でσ法により、±2σを警告限界、±3σを管理限界と設定しています。管理限界であるUCL、LCLの計算は、±A2=±1.88となっています。これは、管理限界である、±3σに相当すると思います。±2σの警告限界を計算する場合は、係数である1.88 はいくつになりますか。
不確かさ及びトレーサビリティについてお聞きします。
生化学の自動分析器で現在マニュアルに従い、各試薬指定の標準液及び標準血清等を用いて分析器のキャリブレーションを実施し、日常用いるキャリブレータ―の値付を行っています。この場合にトレーサビリティの連鎖で、不確かさの表記のない標準液の取り扱いと、不確かさの表記がないことで連鎖は途切れてしまうのでしょうか。
標準血清には不確かさの表記があり、標準液には当然ありませんが、不確かさの検定を行う時に元の不確かさがない場合の計算の方法とトレーサビリティの連鎖はどのように考えたらよろしいのでしょうか。
内部精度管理について教えてください。厚生法制精度管理研究会が監修されている「検査における精度管理」の衛生検査所指導要領の中に生化学的検査について管理血清を用いたチェックは最低約100検体ごとに行われていることと記載されています。当検査室(衛生検査所)では生化学検査は多項目同時測定を行っており、100検体中に測定しない項目(依頼のない項目)も存在します。記載されている100検体の意味を100テストと解釈しても大丈夫なのでしょうか。
機器の精度管理についてお聞きします。検体分離の不十分さからも検査値の精度管理は保てないと思いますが、現在、当院では遠心器については点検も含めて精度管理を実施していない状況です。遠心器のGを測定する機器はあると聞きましたが、高価であり、もっと簡易にできる方法もあるとも聞きました(具体的には判らないのですが・・・)。簡易に実施できる遠心器の精度管理の方法をご存知でしたらお教えいただければ幸いです。
「母平均の区間推定」「t分布を利用する」についてお尋ねします。
tをあらわす式で分母は自由度の平方根で割っていますが、t分布表のtの値は割るまえの値ではないでしょうか?自由度無限大の場合を正規分布と考えると、t分布表で信頼水準95%のtは1.96になっています。したがって自由度無限大の場合の信頼水準95%の範囲は平均値±1.96σということになるはずですが、ここで自由度の平方根を式に入れると無限小ということになってしまいます。
自動分析装置の購入を検討しています。一般的な生化学試薬と装置において、カタログ値の測定範囲の「下限」「上限」を決定する基準はありますか?定量限界は3SD法が一般的とうかがったのですが、検出限界、上限を決定する基準を教えてください。
Tonksの誤差許容限界についての質問です。
誤差許容限界=±{(基準範囲の幅×1/4)/基準範囲の中央値}×100
基準範囲の1/4の幅が許容できる誤差の限界とし、10%を越える場合には10%にとどめる。一般に基準範囲は健常者群から求めた測定値の平均値±2SDで表現される。その幅の1/4は、1SDに相当する。また測定誤差は一般的に95%信頼区間(平均値±2SD)で表現される。このことからTonksの誤差許容限界は実験誤差が健常者群から求めた測定値の1SDを越えてはならないとするもの。
・・・とありますが、「測定誤差は~」という文章の意味がわかりません。測定誤差と許容誤差との関係がつかめません。具体的に教えて頂ければと思います。
当施設では献血者から採取した血液を測定しております。私の部署で濃厚血小板液を測定しています。自動血球装置の精度管理はメーカーから提供のコントロール血液を使用しています。
以前、行政査察が入った時に、自動血球装置の測定前と測定後の精度管理を実施しなさいと指摘されたそうです。コントロール血液で前後の精度管理を行いたいのですが、検体量が足りないため、朝一番に測定した血液をもう一度夕方に測定して、測定値に差がないかみることになりました。しかしながら、質問集を見ている限りではこれは意味のないことに思えたのですが、いかがなものなのでしょうか?この方法が正しいとして、どうやって前後の測定値に問題がなかったといえばいいのでしょうか?
例えば、朝測定した値の何%以内ならば適とするのか?その何%はどうやって設定するのか?
精度管理の種類に標準値偏移法(drift standard method)というものがありますか? それは、どういうものか、わかりやすく教えてください。もし、それに関する資料等がありましたら併せてお願いします。
Zスコアを用いた精度管理について教えてください。
(1) Zスコアを求めるための標準偏差と平均値を最初に求めますがどのくらいのサンプル数を用いるのが適当なのでしょうか?「精度管理の考え方」では100-200、他のサイトでは100-400とありました。最低100は必要と考えてよいのでしょうか?
(2) 「母集団が正規分布でなくても、標本の大きさnが大ならば、標本平均値のXバーの分布は近似的に正規分布と考えてよい。」と他サイトで読んだのですが、この時のnは最低どの程度が妥当なのでしょうか?
1、2ともに参考となるような文献、サイト、法令なども教えていただければ幸いです。
内部精度管理で、検体列にコントロール血清を入れる位置は、毎日ランダムに選ぶ必要があるのはどうしてでしょうか。決まった位置に挿入するのではだめな理由をお教えください。
コントロール血清を流すタイミングについて質問があります。検体ロットの先頭と末尾に流し、その両方が管理範囲内に収まっていれば、ロット全体を保証できると考えて良いでしょうか?
朝一番と午後からの測定開始前の1日2回キャリブレーションをしています。キャリブレーションが正しくとれているかを確認するため、コントロール血清をキャリブレーション直後に2重測定しています。また、20本おきに同じコントロール血清を測定して同一の値が打ち返されることを確認しています。キャリブレーションの正しさはこれで確認できるでしょうか?
ルチン用と緊急用の2つの装置が稼動しています。これらの装置で、同じ検体なら同じ結果が得られることの確認をとりたいと考えています。そこで、まず3種類の異なる濃度の検体を準備しそれぞれの装置でそれらをランダマイズして測定して、得られたデータを検定し、有意な差がないことを確認しようと考えました。この場合、それぞれの濃度の検体についてt検定で有意な差がないとする結果が出ても、測定回数が少ないことが原因ならば検討の意味がありません。このような検討に必要な測定回数をどう考えればよいか教えてください。
一つの検査室、あるいは病院内で緊急検査用、バックアップなど一つの項目で2つ以上の装置を使っている際に、それぞれの測定値の同一性を確認実験する場合、何か気をつけなければならないことがあるでしょうか?
S管理図法は、Z-Sum管理図法と同じという認識でよろしいのでしょうか?Z-Sum管理図法というのは、次式でZ値を計算します。
現在生化学で同一機種を複数台使用しています。機種間差を取った時に許容できる(相関関係がある)r係数の範囲と、±bの値の補正はどのようになった場合にすべきであり、必要なのでしょうか?
専用試薬がセットになっている分析装置を導入しました。全項目についてメーカーとしての保証精度が記載されていました。このような場合、法的な品質保証責任も視野におけば一般的なアプローチでの法や法での精度管理の意味はどう考えればよいでしょうか?メーカー保証より狭い幅の精度管理(つまり品質保証)をすることに矛盾を感じるのですが。
同じ標本群ではないが、同じ条件を満足している2つの別々の標本群があって、それらを対象にデータを得たとき、2つの標本群を得た母集団の平均に差があるかどうかを検討したい。一般的な方法としてはどのような方法がありますか?
すでに設定されている基準範囲の妥当性を再確認するにはどうすれば良いでしょうか?
生化学の分野のことです。精度管理試料を一日に1回だけ測定しています。したがってXバーR管理図にはなりません。このやり方は、間違っているのでしょうか?