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精度管理の考え方中 恵一

数理統計学で使う基本的な用語

中心極限定理

  2つの要素による和の集団は正規分布をすることを知った。次に同様にして2つの要素を得、その平均値 について新しい集団を作るとどうなるだろう。平均値 は、全ての要素を1/2して和を求めることであるので、これも同様に正規分布をし、次のように書くことができる。



 ここで元の2つの母集団が同じものならどうなるだろう。すなわち、1つの母集団から2つの標本を取り出してその平均値を求める場合を考える。
取り出す母集団は、上と同じ正規分布をする次の集団である。

 

 この時は、先の集団を表す記号を使って、次のように考えればよい。すなわち、



として、上の正規分布に当てはめれば、簡単に結果の集団を示す記号になる。



 一般的な表現にするために、ある正規分布をする母集団から複数の標本を取り出して、その平均値 を求め、それをn回くり返して得たn個の平均値 の分布を考えれば、その「標本の平均値 」の分布は、「母集団の母平均値」を平均値とし、「母集団の母分散の1/n」の分散をすることになる。したがって、その標準偏差は、  になる。

標本の平均値 を要素とする集団は次のように記号で示すことができる。



 この性質は重要なことで、一般化して表現するためにこの分布を基準化する。
今、標本平均は 、その標準偏差は上に示したように、 であるから、基準化するために次の変換式を利用する。

・・・(A-18)

 こうして変換されたZは、平均値0、標準偏差1の基準正規分布N(0.1)に従う。
 この性質は、中心極限定理central limit theoremといわれる。
 日常精度管理を考える上で、標本の平均値の分布を利用することを考えれば、この中心極限定理は非常に重要な意味を持っている。