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検査室支援情報
検査室総合マネジメントのすすめ
代表20項目平均コスト指数
代表20項目平均コスト指数の概要
ステップ1. 支出に着目
検査部門の経済面評価は、本来ならば全収入と全支出を把握し「バランスシート」として出力されるべきでしょう。しかし現実には、まるめ、判断料、加算料さらには保険審査の否認など、請求入金の仕組みが複雑で、正確に検査部門の収入を把握することは難しいのが現状です。そこで、収入の把握は断念し検査部門で確実に把握できる「支出(コスト)」に焦点をしぼり、モデル検査室とのコスト比較で評価対象検査室の生産性評価を行います。検査部門がCost Centerになりつつある現状を考えますと、支出のみに着目することは意味を持ってくると予想することができます。
ステップ2. 項目と要素を絞る
作業の煩雑さを軽減し、どの検査室でも簡単に活用できて、比較評価の整合性も高いものにするために、検査項目とコスト要素を代表的なものに絞り、「代表項目平均コスト指数」として分かり易い形を設定します。
ステップ3. 代表項目(20項目)の選択設定
全検査項目のコストを求めることにも意味がありますが、評価の簡便さ、および施設間比較時の妥当性を考慮して、項目を以下のように絞ります。
血算、PT、APTT、TP、CRE、AST、γ-GTP、Na・Cl、K、Ca、Glu、HbA1c、CRP、ASO、CEA、AFP、HBs-Ag、HCV-Ab、尿定性、尿沈渣
外来で頻繁に行われる検査項目であること、また、糖尿病、高血圧、がん、肝疾患、腎疾患など現在一般的に多い疾患の診断に不可欠な項目であることなどを考慮し、これらの項目を選択しました。
ステップ4. コスト要素の選択と項目別按分
それぞれの検査項目について、人件費、試薬消耗品費、システム費、分析機費の4つのコスト要素の情報収集と計算を行います。水道光熱費や土地、建物償却費など、検査部門として把握しにくい要素や検査部門の努力で改善することが難しい要素は計上していません。
4-1. 人件費
人件費調査シートに、技師の年間給与、業務配分率などを記入し、受付作業費、前処理作業費に、作業グループ毎(例:生化学主体自動分析グループ)に分類したグループ別作業費の合計を求めます。各作業費は、関連する項目の依頼総数より、各項目に按分します。なお、社会保険費用、退職金等を考慮し、技師年間給与に係数1.4を掛けた金額で算出します。
(項目別1テストあたりの人件費)
- 人件費=受付作業費+前処理作業費+部門別作業費
- 作業グループ別の各作業費=(技師年間給与x1.4x各業務負担率)÷関連検査項目の総依頼数
4-2. 試薬消耗品費
試薬消耗品費は、「直接試薬費」、「コントロール、キャリブレーター等の間接試薬費」、および「機器の消耗品、採血管、カップ、チップ等の消耗品費」を、それぞれに関連する項目の依頼数で按分し算出します。(項目別1テストあたりの試薬消耗品費)
4-3. システム費
システム費は、LIS、LAS、分注機、採血管準備システムの償却費と、その保守費用を関連する項目の依頼数で按分し算出します。(項目別1テストあたりのシステム費)
4-4. 分析機費
分析機費は、分析機の償却費とその保守費用を、測定している項目の依頼数で按分し算出します。(項目別1テストあたりの分析機費)
ステップ5. 項目別1テストあたりのコストを算出
各検査項目の合計コスト(4-1から4-4までの項目別に1テスト分コストとして按分されたものの合計コスト)を算出します。
ステップ6. 項目別暫定基準値から自施設の項目別コスト指数の算出
モデル施設の、項目別1テストあたりのコスト平均値である項目別暫定基準コストを100とする時の自施設コストの比例値、つまり項目別コスト指数を算出します。
ステップ7. 代表項目平均コスト指数の算出
全20項目のコスト指数の平均値を求めれば、代表20項目平均コスト指数となります。