SOLUTION
検査室支援情報
Laboーcolumn
回復期病床の比率が上がった場合を考える
2024年の診療報酬改定、さらに第8次医療計画への関心が高まってきました。厚生労働省は、地域医療構想に基づき2025年の必要病床数を119万1000床(2015年は125万1000床)と定め、中医協や第8次医療計画に向けて議論しています。病床を有する医療機関は、医療法に基づき毎年、病床機能報告を行っており、2021年の報告では2025年の病床数の目標を達成できる見通しとなっています。
しかし、病床機能では課題が残っています。2025年の見込みでは、高度急性期の目標13万床に対して2万9000床、急性期の目標40万1000床に対して12万5000床、慢性期の目標28万4000床に対して1万2000床それぞれオーバーすることになりそうです。これに対して回復期は目標37万5000床に対して16万5000床の不足となりそうです。
診療報酬改定は、医療政策を進めるうえでの課題を円滑に解消させる役割を担っています。2024年の改定では、地域医療構想を実現するために高度・急性期病床のハードルを上げ、回復期病床への移行促進を図ることが考えられます。
さて2023年7月5日に開かれた中医協総会は、「入院」について議論され、厚生労働省は「医療機関の常勤・非常勤職員の合計数」(令和4年度)をまとめた資料を配布しました。急性期一般入院料1(7対1看護相当) 、同入院料2~3、同入院料4~7、回復期リハ・地域包括ケア病棟について、1施設100床あたりの職員の配置状況が示されています。
例えば看護師数は順に63.2人、52.0人、44.9人、43.0人と減少しています。理学療法士は逆に1.2人、2.3人、1.5人、14.8人と増加傾向です。臨床検査技師は、この資料に掲載されていませんが、2021年の調査では看護師と同様に減少傾向でした。
急性期一般入院料1の看護師数は、2021年の調査では102.9人、2022年では63.2人と大きく異なり病床機能別職員数の目安にはならないと思います。しかし、職種ごとに増加傾向か、それとも減少傾向かを読み取ることはできます。前回のコラムで、「臨床検査技師の就業者数は2053年に向けて増加する」と書きました。今後、就業希望者が増える中、病床機能の変化にかかわらず、いかに業務を充実させるための検討が求められます。
最近、病棟や在宅など検査室外の業務拡大が注目されています。今後、回復期病床の拡大を見込まれる施設は、検査室において、将来、どのような業務を行っていくのか、是非とも考えていただきたいと思います。
2023.09.12