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検査室支援情報
Laboーcolumn
オンライン資格確認と診療報酬改定
今年(2023年)4月から、医療機関や薬局を対象にオンライン資格確認の導入が、原則義務付けられます。同時に診療報酬改定が一部行われ、医療情報・システム基盤整備体制充実加算1および3が見直されます。今年12月31日までの特例措置として初診料は2点が加算され、再診料として2点が新設されます。
オンライン資格確認とは、マイナンバーカードに保険証機能を付与して、本人確認のほか、加入している医療保険の種類や有効期限などの確認をオンラインシステムで行うことです。医療機関や薬局では、患者の資格情報、特定健診情報、薬剤情報などをオンラインで確認できます。患者においても、パソコンやスマートフォンを利用して自身のマイナポータルで、自身の情報が確認できます。
政府は、国民に対してマイナンバーカードの申請や保険証機能の付与を推進しており、医療機関や薬局においても、顔認証付きカードリーダーの導入が進んでいます。今回、診療報酬を加算することで、政府主導で体制整備を一層進めようというものです。
オンライン資格確認のメリットとして、厚生労働省は医療機関において患者の特定健診情報、薬剤閲覧、医療費通知情報などが閲覧でき、診療に活用できることを挙げています。さらに顔認証により本人確認と保険証確認が同時に行われ、受付業務が円滑になるとしています。つまり、受付時の入力の手間が軽減され、誤記リスクの減少、さらにオンラインでの即時の資格確認により、レセプトの返戻が回避できるなどが挙がっています。
さてメリットが強調されていますが、今後の維持管理やセキュリティ対策が万全となっているのかが気になります。多額の補助金により導入が進んでいますが、長期に使っていくためには、どういった費用が必要になるのか公表すべきと思います。
厚生労働省によると、一般診療所の電子カルテ導入率は約50%(2020年)となっており、さらに診療所医師の高齢化が進むなかで、「導入義務化」に向けた取り組みが、順調に進まないのではといった懸念が生まれます。
また、臨床検査値の閲覧として、当面、特定健診が対象になりますが、将来的にはがん検診、さらに診療時の臨床検査値も想定されています。臨床検査業界においてパーソナルヘルスレコード(PHR)の関心が高まっており、政策と業界の取り組みが相互に補完することが望まれると思います。
2023.01.10