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Laboーcolumn
オンラインによる資格確認導入の原則義務化を考える
2023年4月から医療機関や薬局を対象に、オンライン資格確認システムの導入が原則義務化されます。政府は10月12日、「医療DX推進本部」(本部長・内閣総理大臣)を発足させました。DXとは、デジタルトランスフォーメーションの略称で、デジタル技術によってビジネスや社会、生活の形・スタイルを変えることを指します。政府はオンライン資格確認システムを普及させることで、医療DXの基盤をつくりたい考えです。
厚生労働省は、マイナンバーカードに健康保険証の機能を持たせることで、オンライン資格確認システムのネットワークを利用して、レセプト情報や特定健診情報の閲覧が可能になるとしています。将来は、予防接種、電子処方箋情報、電子カルテ等の医療機関の医療情報を共有・交換できる全国的なプラットフォームを作る予定です。実現のためには電子カルテ情報の標準化が必須となり、スムーズなデータ交換や情報の共有を進めるために、HL7 FHIRを医療文書の標準仕様(特にweb通信)にするとしています。
このほか、電子カルテデータを、治療の最適化やAI等の新しい医療技術の開発、創薬のために有効活用することが検討されています。さらにデジタル化により診療報酬改定などの作業を大幅に効率化し、システムエンジニアの有効活用や費用の低廉化を目標にしています。
今年10月には診療報酬を一部改定して、今年春に新設された「電子的保健医療情報活用加算(マイナ保険証を利用する場合初診で7点、再診で4点など)」を廃止しました。そして「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」を新設し、施設基準を満たす医療機関で初診を行った場合に4点、さらにオンライン資格確認等により情報を取得した場合2点が加算されることになりました。オンライン資格確認システムの導入が進み、患者によるマイナンバーカードの保険証利用が進むように、診療報酬でも関連する支援措置が見直されました。
厚生労働省は政府の医療DX推進本部設置を踏まえ、「医療DX令和ビジョン2030」を定め、推進チームを発足させました。厚生労働大臣がチーム長を務め、事務次官や医務技監が補佐します。合わせて「電子カルテ・医療情報基盤」「診療報酬改定DX」の2つのタスクフォースが作られました。これらの活動は引き続きチェックしていく必要があると感じます。
現在、政府は国民に対してマイナンバーカードの取得、保険証機能の紐付けなどを推奨し、オンライン資格確認システムの整備を急速に進めています。これにより臨床検査データを含めた医療情報を、医療機関内にとどまらず、医療機関外においても積極的に活用していこうという方向性が明確になりました。臨床検査においても、データの整合性が一層求められることから、標準化に向けた取り組みをこれまで以上に進めていくことが重要になりました。
2022.11.07