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感染対策やデータ活用を評価するも検体検査は下げ傾向
中央社会保険医療協議会は2022年2月9日に総会を開き、4月の診療報酬改定について厚生労働大臣に答申した。ここでは答申書に記載された事項から、臨床検査や臨床検査技師に関連した主な項目について紹介する。
まず気になるのが、検体検査実施料である。マルメ項目として、生化学検査10項目以上が3点下がり106点に、腫瘍マーカー4項目以上が12点下がり396点に、肝炎ウイルス関連検査5項目以上も13点下がって425点になった。個々の項目でも、自動分析装置を使った生化学・免疫、血液、凝固などの項目の下げが目立った。
一方、細菌培養同定検査は5もしくは10点上がった。細菌薬剤感受性検査も1菌種、2菌種、3菌種以上がともに10点上がった。抗菌薬の適正使用のさらなる推進を狙ったものとみられる。
血液採取(静脈)は今回の改定でも2点上がり37点に、鼻腔・咽頭拭い液採取も20点上がって25点になった。鼻腔・咽頭拭い液は、新型コロナウイルス感染症の検査でも検体として用いられるが、現在の保険点数(5点)は人件費などを含むコストの7分の1相当で、実態が反映されていない低い点数であるとして、日本臨床検査専門医会が厚生労働省に増点を要望していた。
また、コロナ禍の影響もあり、感染防止対策の加算が外来にも設けられた。診療所を対象に外来感染対策向上加算(6点)が新設され、連携強化加算(3点)、サーベイランス強化加算(1点)も設けられた。外来感染対策向上加算は、専任の院内感染管理者を配置するなどの施設基準が設けられ、その基準をクリアできるかが普及のカギになりそうだ。
これまでの感染防止対策加算(加算1:390点、加算2:90点)は、感染対策向上加算と名称が変更された。加算1:710点、加算2:175点、加算3(新設):75点となり、特に加算1が大幅にアップした。さらに、指導強化加算(30点)、連携強化加算(30点)、サーベイランス強化加算(5点)が新設された。
臨床検査の標準化の対応も必要に
厚生労働省は、標準規格の導入に係る取り組みを進めているが、臨床検査にも影響を及ぼしそうだ。診療録管理体制加算を算定する施設は、毎年7月に、電子カルテやHL7 FHIRの導入状況を報告することになった。さらに加算1の施設基準として、400床以上の病院では、専任の医療情報システム安全管理責任者の配置が要件に加えられた。
また、データに基づくアウトカム評価を進めることから、データ提出加算の届出を要件とする入院料の範囲が拡大された。地域一般入院基本料、専門病院入院基本料(13 対 1)、障害者施設等入院基本料、特殊疾患入院医療管理料などが対象になる。
厚生労働省は、マイナンバーカードに健康保険証機能を持たせる取り組みを進めている。診療報酬では、外来でオンライン資格確認システムにより、患者の薬剤情報や特定健診情報などを取得・活用して診療などを行った場合に評価する。電子的保健医療情報活用加算を新設し、初診料:7点、再診料:4点、外来診療料:4点が加算される。当初は特定健診などが対象になるが、今後、がん検診、診療の際に行われる臨床検査も対象になる予定だ。
今回の改定は、検査実施料の上げ下げのほか、施設外で行った臨床検査も活用していく方向性が示された。精度管理のみならず、標準化に向けた対応が一層重要になりそうだ。
2022.02.15