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検査室支援情報

Laboーcolumn 小林 利康(医療ライター)

診療報酬改定と医療DX

中央社会保険医療協議会(中医協)は2024年2月14日、2024年度診療報酬改定に伴う答申を厚生労働省に行った。2024年度改定は、医療、介護、障害福祉の同時改定の年であるほか、医療DXの推進、地域医療構想の確実な進展、感染症対策、医療従事者の賃上げなどがテーマに挙がっていた。

臨床検査の点数は、血液採取(静脈)が37点から40点に増点されたほか、肺癌関連遺伝子多項目同時検査が1万点から1万2500点に、このほか細菌検査の一部も増点された。しかし、生化学10項目以上は106点から103点に、SARS-CoV-2抗原検出(定性)は300点から150点になった。改定は6月に実施される。

日本臨床検査専門医会は、現在、入院患者のみに加算される国際標準検査管理加算について、外来症例に対しても評価することを診療報酬調査専門組織(医療技術評価分科会)に求めていた。しかし、2024年1月15日の分科会で、「別途評価を行うべき根拠が十分に示されていない」との見解により、改定項目から外れた。ISO15189:2022(第4版)になり、ISO認証に向けた関心が高まっていたが、提案はかなわなかった。

さて、医療DXは2030年までにすべての医療機関に電子カルテを導入し、国民の健康増進、医療の効率化を図ることが目標である。2023年7月に工程表が作られ、医療機関や薬局、介護施設などで医療情報の共有に向けた取り組みが進んでいる。

さらに、医療DXの一環として全国医療情報プラットフォームが作成され、特定健診やカルテ情報が入力される。医療機関で得られた検査データも、患者の同意を得て登録され、マイナポータルにより閲覧することができる。

臨床検査データは、臨床検査項目分類コード(JLACコード)にひも付けることが求められている。しかし、JLAC10は1997年、JLAC11は2019年に公表されたものの、ほとんどの医療機関で利活用されていない。JLACによるコードの標準化を実施すべきと考えたいが、JLAC10からJLAC 11への移行が困難であったり、JLAC 11は細菌検査などの付番が未対応といった課題があったりと、導入の障害となっている。そのため、実際の検査現場では臨床検査情報システムにJLAC10とJLAC11を両方登録するなどの対応が求められている。

臨床検査のイノベーションとして新しい検査法の開発は重要である。あわせて検査データのユーザーである医師や看護師だけでなく、データの二次利用先が患者の治療や健康増進のためにどのようにデータを活用していくか、データの利活用の視点で使いやすいシステムを提供することも重要になっている。

2024.02.22