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検査室支援情報

Laboーcolumn 小林 利康(医療ライター)

中医協の個別改定項目について

中央社会保険医療協議会(中医協)はまもなく2024年度診療報酬改定に向けた答申を出します。1月26日の中医協総会で改定内容を記載した「個別改定項目」(いわゆる短冊)が公表されました。今後、改定後の点数が記載され、答申となります。

個別改定項目は前回2022年度の改定では約500頁でしたが、2024年度の改定は700頁を超えています。介護報酬改定が同時に行われること、2024年6月に改定されることもあって、かなり詳細に評価・見直しが行われます。臨床検査関連では、「血液化学検査 ハ 10項目以上(現行106点)」「SARS-CoV-2抗原検出(定性)(同300点)」は引き下げ例として記載されました。血液化学検査10項目以上の引き下げはほとんどの病院検査室に影響があり、何点になるのか注目されます。

一方、質の高い臨床検査に対して適切な評価が行われ、E3区分で保険適用された新規項目の体外診断用医薬品等について検査料が新設されます。具体的な例として2023年8月に新規保険収載(204点)された微生物核酸同定・定量検査「A群β溶血連鎖球菌」が挙がっています。淋菌核酸検出の保険点数を準用していましたが、新たな評価が行われます。

また、医療機関で働く職員の賃上げ、外来で標準的な感染防止対策を講じるために入院基本料や初・再診料が引き上げられます。さらに「医療DX推進体制整備加算」が新設され、オンライン資格確認により取得した診療情報・薬剤情報を実際に診療に活用し、電子処方箋や電子カルテ情報共有サービスを導入した場合に評価されます。今後、臨床検査データの標準化が一層求められることになりそうです。

さて診療報酬調査専門組織(医療技術評価分科会)の第1回会合が2023年11月20日に、第2回会合が2024年1月15日にそれぞれ開かれました。日本臨床検査医学会は、血液採取(静脈)の引き上げ、国際標準検査管理加算の外来適用、ヘモグロビンA1c(HbA1c)の分類見直しなどを提案、日本感染症学会も感染症コンサルテーションを提案しました。

しかし、第2回目会合で優先度の高い技術として認められたのは、血液採取(静脈)、細菌培養同定検査の一部、細菌薬剤感受性検査などでした。これらは中医協答申で点数が引き上げとなる可能性が高いといえます。

これまで中医協答申は2月10日前後、告示は3月上旬に行われています。今年は6月に改定されるものの、例年同様の時期に答申・告示が行われる可能性が高いと思います。

2024.01.31