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検査室支援情報

Laboーcolumn 小林 利康(医療ライター)

小倉克巳氏のインタビューを冊子にまとめました

高知大学医学部附属病院に在職し、臨床検査業務の効率化、迅速な報告に寄与された検査部元臨床検査技師長の小倉克巳氏をインタビューしました。小倉氏は、令和5年春の叙勲 瑞宝双光章を受章されました。

病院開院時の臨床検査技師数は8人。当時、検査部長に就任予定であった佐々木匡秀氏は、検査業務の効率化のために、検体を搬送するベルトラインシステムを考案しました。小倉氏らは新病院開院までの約半年間で、採血された検体を各検査機器まで搬送し、検査ができるシステムを技師自ら手作りで稼働させました。

小倉氏は、市販のベルトコンベアを購入し、コストを抑えるためにベルトを途中で切断して人為的にベルト伸ばして使いました。ベルトラインシステムは、その後も日常業務が終わってから、技師は作業服に着替えて油まみれになって5年間にわたり改良が加えられました。

その後、検体検査自動化システム(LAS)が開発され、高知医大病院でも導入が検討されました。LASの導入には億単位の費用が必要であり、これまでの数百万円単位の予算では到底まかなえません。そこで検査部の収支を計算したところ、かなりの収益が出ており、LASを導入しても十分採算が取れることが分かりました。

小倉氏は、「臨床検査技師でなければできないことは技師が行い、機器ができることは機器に任せることが重要」と述べ、技師は得られたデータをもとに総合的な業務を行うべきであるとの考えを示しました。臨床検査室には、生化学や免疫、血液、一般など多くの検査機器が稼働しています。これらは臨床検査情報システム(LIS)によって情報がまとめられ、LASを導入することで業務の効率化が図れます。

しかし、LASの多くは大規模な病院検査室に設置され、中小規模の病院ではほとんど導入されていません。小倉氏は、「中小規模の病院こそ、LIS、LASを入れて業務の効率化を図るべき」と指摘。さらに「LIS、LASが一体となったトータルシステムとして使用する」とも述べ、検査室の顧客である医師、看護師に分かりやすく情報を伝えるべきと強調しました。

小倉氏のインタビューは、エイアンドティーの代表取締役社長 渡邊達久氏にもご参加いただき、検査部の組織運営、事務部門との付き合い方などについても触れ、冊子「未来への道標」として発行しました。詳細は、エイアンドティー担当までお問い合わせください。

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2023.10.19