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検査室支援情報

Laboーcolumn 小林 利康(医療ライター)

2022年4月の診療報酬改定に向けて

2022年4月の診療報酬改定の議論が大詰めを迎えている。昨年12月22日の予算大臣折衝により、診療報酬の改定率は本体プラス0.43%と、かろうじてプラスになった。一方、医療保険部会(厚生労働省保険局)、医療部会(厚生労働省医政局)から、新型コロナウイルス感染症対応に全力を注ぐとともに全世代型社会保障の構築を急務とする、改定の基本方針が示された。あわせて、情報通信技術(ICT)を一層進め、電子カルテ情報の標準化などデジタル化した医療情報の活用を図り、医療機関間の連携を進めるという。また、イノベーションの推進により革新的医薬品を含めた、あらゆる医薬品・医療機器等を国民に安定的に供給し続け、医療と経済の発展を両立させることが盛り込まれた。

医療情報の標準化やICTの活用により、今まで原則として対面で行われていた診療をオンライン診療に変えることが可能になりつつある。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、一部の初診や再診時にオンライン診療が行われており、今後は遠隔地などでも普及する可能性がある。

医療連携の取り組みを進めるためには、臨床検査の質の向上と標準化が不可欠である。2018年12月に施行された改正医療法により、医療機関における検体検査データの品質・精度管理が法令で規定された。今後は、標準化を進め医療の質の向上につなげることが求められる。

厚生労働省が進めるデータヘルス改革により、マイナンバーカードの健康保険証利用が始まった。マイナポータルを通じた個人による情報の閲覧だけでなく、今後は患者の同意が得られれば、医療機関・薬局が特定健診情報やがん検診・薬剤情報などを確認できるようになる。さらに将来は、診療で行われた検体検査のデータなども参照可能なシステムが構築される予定で、診療報酬改定においても、この取り組みを後押しすることが見込まれる。

昨年11月26日の中医協総会で、医療情報システムなどによるデータ提出について議論が行われた。データ提出加算を届け出ている病院は、2014年度以降急速に増えており、2021年度までの7年間で約3倍の5,000施設以上となっている。今後、マイナポータルの普及により臨床検査の標準化に向けた検討が一層進む可能性がある。

一方、厚生労働省の医療技術評価分科会では、新しい臨床検査技術等の評価、さらに既存技術の再評価が行われている。具体的には「診療情報提供料(Ⅰ)・検査・画像情報提供加算」の要件緩和、「国際標準検査管理加算」の外来症例の評価、「血液採取・静脈」「鼻腔・咽頭拭い液採取」の増点などについて、関連する学会・団体から提案されている。1月下旬には、これら技術を診療報酬で評価すべきかどうかの検討結果が公表され2月中旬には中医協総会で、4月から実施される新しい診療報酬が明らかになる。今後も中医協の動向に目が離せない。

      

2022.01.11