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検査の樹―復習から明日の芽を

はじめに

今、医療現場は、経済的な抑制、事務業務の肥大化、作業基盤の一元化など組織的な改革が短期間に実施されているために戸惑いが大きくなっています。しかしこれらは、長期的に医療体制を保持するには不可欠で通過すべき過程といえます。一方、組織上の戸惑いとは裏腹に、近年の医療技術の進歩は目覚ましく、これまでは、予測さえつかなかった疾患での病因論の解明や分子標的治療の開発、幹細胞やiPS細胞を用いた再生医療への取り組みなど革新的な発見や成果が相次いでいます。また、分析機器もMALDI-TOF MS、高速シーケンサー、共焦点レーザー顕微鏡など臨床検査に近い位置にある特殊分析機器の商品化や改良も相次いでいます。

このように基礎研究と臨床研究との垣根が低くなりつつあるこれからの臨床検査に求められるのは、患者個々の正確かつ詳細な病態の解明と分子生物学的な病状分析であります。これには、遺伝子を含む分子生物学理論と関連する分析技術は不可欠なものと思われます。折しも臨床検査との深いかかわりを示す論文を、Genome-wide association study of hematological and biochemical traits in a Japanese populationという表題で鎌谷先生らがNature Genetics(7 February 2010)に報告しています。

今後は、臨床検査もSNPなどの遺伝要因だけではなく、代謝やシグナル伝達、pathwayなどの分子間作用と細胞・組織機能の理解が必要になると思われます。しかし、分子生物学は近年急速な進展を遂げた分野なため臨床検査に携わっておられる方々の中には、学生時代には耳慣れない学問だったり、学ぶ時期的な理由で教材内容が大きく異なったり、多くの知識を受け入れる事をつい怠ったり、知識習得への高揚感は高いものの地理的・経済的理由で達成できなかった方もおられます。もちろん、中には造詣が深く先端の研究を進められている方もおられます。

このような状況下、多くの方から、何かを学びたいが何から手をつけるべきかわからない、焦りながらも時間が過ぎてしまった、もう少し深く専門知識を習得したいと思っているなどの声をお聞きしました。このような方々と一緒に学びながら少しでもお役に立てないかと、退職を期に執筆を思い立ちました。

私は幸運にも在職中は、臨床化学、微生物検査、肺機能検査、遺伝子検査と臨床検査の中を渡り歩いたため、浅いながらも比較的広範にわたる検査の知識を得ることができました。この間に得た経験と、大学院時代とその後の研究でかじった知識と、さらには余暇の読書で得た知識を総括しながら関連事項をまとめ、相互の知識構築の糧になればと思います。新しい分野に寄与できる知識を一つでも多く提供できるよう研さんしていく所存であります。

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