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精度管理の考え方

Q27 Answer

Q27

病院規模は入院100床未満、検査技師は常勤2名、午前中のみのパート1名の合計3名です。日々の管理は、検査システムに付属している精度管理用の機能を利用しています。当検査科の内部精度管理はコントロール2濃度を1日2回測定、検査システムの-R-Rs管理図を確認して必要な是正処置を行っています。検査システムの管理図は、自動計算もしくは管理SD値で±2SDと±3SDのラインを引くことができるのですが、それとは別に管理限界のラインを引くことができません。

当検査科の具体的な内部精度管理の方法ですが、管理限界には日本臨床化学会(JSCC)が提唱しているCVAの値を基準にしています。CVAが5%を超える場合は、基本的に5%を基準にしています。あらかじめコントロールを20日間測定して算出した平均値に対して、求められるCVA値よりSDを算出します。さらに、その2分の1の数値を管理用のSDとしてシステムに登録すると、管理図に表示される±2SDのラインは、平均値とCVAから算出されたSDに相当します。その表示された±2SDのラインを管理限界と見立て、超過した場合はルールに従い、是正処置を行います。また、そこから得られた内部精度管理のデータを集計するプログラムを構築し、月ごと、コントロールロットごとに-R-Rs管理図を作成、印字してCVAを満たしているかを評価して記録を残します。項目によってはCVAを厳しくしたり、±管理最小値を採用しています。さらに、項目ごとに作る-R-Rs管理図に、その項目に使用された試薬のロット及び開封日時記録と、内部精度管理是正処置や機器メンテナンスの実施日時も同時に印字するようにプログラムを組んでいるので、-R-Rs管理図を解析するための材料の一つとしています。

以上のような方法を用いて、以前の勤務先から約9年間内部精度管理を行っているのですが、何か問題点や改善点などありますでしょうか?私が検査技師として勤務し始めた頃は、検査システムが浸透し始めた時期で、精度管理の方法は、とにかく±2SDを守る、もしくはコントロールの表示値を守るのみであって、 具体的な方法論など存在しなかった気がします。あくまでも実際的で意味のある精度管理を目指したいと思い、たどり着いた方法なのですが、ぜひご教授をお願いします。(岡山県 Y様)

A27

詳しく説明くださって、日々どのように品質管理されているか大体のことがわかりました。

管理図の手法は、ともかく一つのロットに対して適応するので、ロット終了後にその工程・作業が決められた状態で行われたかどうかが推測され、それによって自分たちが決めた品質・精度で行われたかどうかを判断できるものです。さらにロットを追って行くと、次のロットでも同様の精度で行えるものかどうかを、管理図からある程度予想できます。説明にはロットの決め方が書かれていないので、「コントロール2濃度を1日2回測定」と書かれておられるところから推測しますと、1日の全検体を1ロットにされているように判断いたします。1日の作業がおよそ終了した時に管理図を作成されて、必要な判断をされるものでしょう。

品質管理には管理目標というものを設定するということが大変重要ですが…±2SDのラインを管理限界と見立て、超過した場合はルールに従い、是正処置を行いますとありますので、管理限界をその目標とされているものと考えます。問題がありません。

項目によっては、±2SDより狭くされているということも書かれているので、臨床側に対 してご自分たちの報告精度を厳しくされているものでしょう。ただ、是正処置…ということが気になります。測定値を修正されるということなのか、再測定されるということなのか、どういったことをされるのかが疑問です。もし測定値を補正するなどされるのでしたらよくありません。どうしてかというと、精度管理用物質に問題があった場合には、その測定値が問題なので、未知検体の測定値が問題ではないからです。

まだまだいろいろのことが一歩前に出ればやることがありますが、日々自分たちが誇ることのできる品質保証を繰り返してやっている限り、疑問を感じられる必要など全くありません。そもそも品質管理は余計な経費をかけないように予防的な処置で行うものです。い ろいろと記録もされているようですから、そのまま進められるとよいでしょう。 もし、例えば報告した検査結果がおかしいというようなクレームがあった時には、さらに考えることもあるでしょうが、そうでもない限りそのまま忠実に進めてくださるのがよいと考えます。

参考文献
日本臨床化学クオリティマネジメント専門委員会:生理変動に基づいた臨床化学検査36項目における測定の許容誤差限界. 臨床化学 35 : 144-15, 2006.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jscc1971b/35/2/35_144/_pdf
(J-STAGE(科学技術情報発信・流通総合システム)ウェブサイト)

中 恵一
2017年3月8日

回答を受けての補足(質問者Y様より)

是正処置(是正措置の方が表現として正しかったでしょうか)ですが、例えば±3SDを外れてしまった場合に再検を行い、再検結果が適切な測定値の場合でもデータの修正や改ざんは行いません。そういった「生データ」は検査システムにそのまま保存しています。月に一度、例えば2017年2月分の生データをCSV形式で抽出し、別途組み込んでいる市販のデータベースソフトにCSVデータを取り込み、設定してある各項目のCVに対して適合しているかどうかを自動判定させて、印字しています。その印字した報告書が、3SDを超えるなど不適合の場合、同時に印字してある試薬開封状況や、行った是正処置を参考に、推測される原因を記載しています。
ただ、CVの算出に関しては、同ロット同濃度を1日2回測定した測定値の平均値に対してCVを計算しているので、期間内のすべての測定値の平均ではありません。ですので、やや緩やかな基準となっていると思います。